サービス案内メルマガ会社案内新聞購読書籍世日ショップ電子チラシプレスリリース旅倶楽部 Google Web サイト内
ホーム ワールドネット
社説
BACKを見る
2008年8月16日

GDP速報/マイナス成長は予見できた

 内閣府十三日発表の国内総生産(GDP)統計によると、今年四−六月期のGDPは、速報値で一−三月期比0・6%(年率換算2・4%)のマイナス成長だった。この期の経済低迷は景気関連の諸指標の動きから事前に予想できた通りで、そのこと自体に意外性はない。

 ただし、内閣府の責任は、極めて重い。平成二十年度の経済予測をも含めて、内閣府は、経済の動きに誤判断を繰り返してきている。

内閣府は誤判断に責任

 米国で低所得層向けのサブプライムローン焦げ付き問題が表面化したのが約一年前、当時はまだ、その描く波紋の大きさがだれにも推測できなかったが、秋口から暮れごろには、各国のエコノミストが事態の容易でないことを認識していた。

 折から日本経済は、内需の伸びが鈍く、中国・印度ほか新興経済勢力の台頭を中心に海外好調のおかげで輸出が順調に伸びたことの助けを得て、辛うじてプラス成長を持続する状況だった。サブプライムローン焦げ付きに始まった米国経済の変調、これが世界経済に広く悪影響を及ぼし始めた実情を直視するなら、遅くとも今年初めごろには、日本経済を取り巻く経済環境の悪化と、したがってまた景気後退の懸念をも、国民経済の運営に当たっての警戒材料として計算に入れておくべきだった。

 ところが、政府は、平成二十年度の経済成長を十九年度比2・1%(実質2・0%)のプラスと見込み、それを前提に五十三兆五千五百億円余と税収を見積もって、新年度予算案を策定している(昨年十二月二十四日の閣議)。すなわち、客観情勢に照らして、二十年度に関しては、経済成長の程度も税収見込みも、ともに小さくはない誤りを犯していたことになる。

 断っておくが、これは結果論では決してない。本年度入りよりも以前に、小紙は、平成二十年度予算政府案と日本経済の実勢との間に整合性が欠けていることを指摘している。

 内閣府の誤判断は、これだけに止まらない。福田内閣改造前の経済財政担当相当時のことだが、経済諸指標から判断して景気後退色が明らかになって以後もなお「景況は底堅い」と強弁し、その後も「踊り場」と称して景気後退を認めようとはしなかった。

 これも内閣改造前のことだが七月二十二日公表の今年度版経済財政白書、その内容にも、理解に苦しむ記述が少なからず目についた。一つだけ、例を挙げる。現在の日本ではスタグフレーション的な状況に陥る可能性は低いとしているのがそれで、日本経済の現況は景気の後退と物価上昇・コスト高が同時進行するスタグフレーションの様相をまぎれもなく呈している。

 何が故の誤判断か、推察するに、財政再建にこだわって、景気テコ入れの歳出増を避けたいとする財務省の立場を重くみてのことだろう。だが、それは、経済情勢の悪化に政府対応が遅れたことの原因になっている。

新対策は内容充実を

 福田改造内閣は、遅ればせながら新たな経済対策を打ち出そうとしている。充実した内容になるかどうかを、注視したい。


この記事を友達に教える

社説HOME

(C)Sekai Nippo Co.Ltd(1975-) Tokyo,Japan.
voice@worldtimes.co.jp