【コラム】中国で「歴史泥棒」扱いされた韓国
最近、中華圏のインターネットサイトで韓国や韓国人はいつでも誰でも気軽に遊べるピンポン玉のような扱いを受けていると言ってもよい。「韓国人は孔子、老子、釈迦を韓国人だと主張し、万里の長城も自分たちが築造したものだという。中国の美女として知られる西施も韓国人だというほどだ。中国の歴史を盗む韓国人はどれだけ厚顔無恥な民族なのか」
少し前にも、中国近代革命の父として知られる孫文が韓国人だとする主張が韓国に存在すると中国紙の新快報、台湾の聯合報、中国時報などが報じ、それをきっかけに中華圏のメディアが「韓国人は他国の歴史人物まで盗む恥知らずの民族だ」と繰り返し報じる事態となった。また、多維新聞網など海外の中国語ポータルサイトでも韓国を見下す報道が相次いでいる。
これほどまでに中華圏で「韓国人が中国史を盗んでいる」というでっち上げ報道が相次ぐ理由は何なのか。特にこれだと思い当たるものはないが、中国人の立場で見ると、インターネット上で嫌韓症をあおり、中華民族主義を刺激すれば、56の少数民族の統合が容易になる。また、改革開放以降、沿海部と内陸部、都市と農村の対立などを歴史意識による武装で覆い隠すことができる。台湾も経済的困難や外交的孤立を歴史優越主義である程度克服し、精神的な慰めを得ることができる。
問題はこれに対する韓国側の対応だ。インターネットで韓国をおとしめようとする試みも時間が経てば消える、というのは甘い考えだ。最近の孫文騒動が広がった経緯を見てみよう。台湾で最初に報じたのは有力紙の中国時報だった。7月31日に報じられるやポータルサイトのヤフーに転載され、その後多くのニュースサイトや放送局で報じられた。あっという間に報道が広がるのを見るにつけ、今後は歪曲(わいきょく)報道や誤報がいつでも全世界15億人の中国人に一気に伝わると見るべきだ。
最近、インターネットは世界に自国の利益を宣伝する場として積極的に活用されている。日本は数億人の中国人ネットユーザーを狙い、自国に友好的な世論を植え付け、反日世論を事前に遮断する目的でおびただしい数のインターネットスパイを活用しているという。中国のポータルサイト「騰訊網」(QQ)は親日的な論理を広める代表的なサイトとして知られている。日中が争う尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有権問題で、騰訊網は日本側の論理を中華圏に積極的に伝えた。
インターネットでの韓国たたきは明らかに誤っているが、われわれも座視したままではならない。「どうして韓国人が中国人の一番嫌がる民族になったのか、『宮廷女官チャングムの誓い』がなぜ中国人に一番嫌われるドラマになったのか」について、理由を解明し、積極的に対応していくべきという意味だ。インターネットを活用した国家イメージ管理に今からでも積極的に取り組まなければならない。
李光会(イ・グァンフェ)インターネットニュース部長
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