厳しい暑さとは逆に、物価上昇による消費者心理の冷え込みが増している。チラシを見比べてチェックするなど消費者は生活防衛に懸命だ。
内閣府が発表した七月の景気ウオッチャー調査結果によると、街角の景気実感を三カ月前と比較した現状判断指数は二九・三と四カ月連続で低下した。米中枢同時テロ直後の二〇〇一年十月の二七・二以来の低水準という。
「十円の差額で販売数に影響するほど価格に敏感になっている」「朝顔市の集客は多かったが、財布のひもが固い」。日ごろ消費者と接している景気ウオッチャーたちの報告に、家計の苦しさと売り手の悩みが浮かぶ。
この調査は、当時の経済企画庁が〇〇年一月から始めた。一般の経済統計では分かりにくい消費現場に密着した生の情報を集め、景気動向を迅速かつ的確に把握する狙いからだ。
景気ウオッチャーには、タクシー運転手や百貨店関係者、レストラン店長ら約二千人を任命している。日々の仕事を通しているだけに、鮮度の高い臨場感あふれる状況が寄せられている。
いまや、物価高騰は生活必需品に次々と広がり、賃金が上がらない中で個人消費に暗い影を落としている。景気ウオッチャーの報告からは、国民の悲鳴が聞こえてくるようだ。政府は敏感に聞き取らなければならない。