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2008年08月14日

【今日のニュース】医療ブログが患者のプライバシーを脅かす

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 医療専門家によるブログでは、著者が不用意に患者の情報を漏らしてしまうことがあり、患者のプライバシーが脅かされる可能性が米国の研究で示され、米医学誌「Journal of General Internal Medicine(総合内科)」オンライン版に7月23日掲載された。

 米ペンシルベニア大学(フィラデルフィア)のTara Lagu博士らの研究グループが271の医療ブログの内容を分析した結果、56.8%に著者の身元を特定するのに十分な情報が含まれていることが判明。明らかな患者のプライバシー侵害はまれであったが、匿名であるはずの著者が地域、下位専門分野などの個人情報を明らかにすることによって、読者に身元が特定されてれしまう可能性があると述べている。

 いくつかのケースでは、ブログを見た患者自身が自分のことが書かれていると特定できる可能性もあるという。例えば、分析の対象となったブログのうち3件には判別可能な患者の写真が使用されており、その中の1件は患者に関する広範囲にわたる解説とともに写真へのリンクが掲載されていた。

 また、一部のブログでは広告掲載が許可されており、本文中で医療製品を宣伝する記述のみられるブログもあった。本文中で製品について記述しているブログはいずれも医学倫理基準を遵守しておらず、利害の抵触に関する情報や、製品の宣伝に対する報酬の受け取りの有無についての情報を提供していなかった。

 「多くの医療ブログは一般に向けて価値ある情報を提供しており、丁寧な論調で、匿名で書かれているが、一部には患者のプライバシーを脅かすもの、医師としての品位を損なう恐れのあるものもある」とLagu氏は述べている。「残念ながら、このような問題に関するガイダンスの提供に率先して取り組もうとする専門機関はない。医療ブログの数が増加するに伴い、専門機関、医学教育機関およびブログコミュニティがガイドライン(指針)や基準を設定し、この新しい媒体がはらむ課題に対処する必要がある」と同氏は指摘している。(HealthDay News 8月7日)








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