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【断 横田由美子】報道の自由の嘘

2008.8.16 03:31
このニュースのトピックスコラム・断

 オリンピック開催を前に、中国の新疆ウイグル自治区カシュガルで武装警察官襲撃事件が起きた。日本人を含む複数の報道関係者が地元の武装警察官に拘束され、暴行を受けたことで、事件は大きく注目を集めた。そして、中国では自由な言論など到底ありえないことと、表向き隠されていた「人種問題」がもはや爆発寸前の状態であることを白日の下に曝(さら)した。

 もう十数年前のことになる。

 私は、北京から西域に向かって旅をしていた。タクラマカン砂漠を横断すると、漢族は目に見えて少なくなる。中国は55の少数民族がいるが、実態は人口の9割以上を占める漢民族支配だ。カシュガルでは逆に、人口の9割をウイグル族が占めているが、要職に就き、経済的に恵まれているのは漢族ばかりだった。そのころ、街ではビリヤードが流行していた。でこぼこ道のいたるところに台があり、ウイグル族の男性が遊んでいた。仕事がないのである。

 こうした経済格差がいずれ火種となることは、通りすがりの旅行者の目にも明らかだった。ウイグルで独立運動の機運が盛り上がり、テロ事件が頻発しても、当局は弾圧を繰り返し、情報規制で国際社会の目をごまかし続けてきた。標榜(ひょうぼう)する少数民族優遇政策が本当なら、今回の事件は起こらなかっただろう。そもそも、反発を力で押し込めてきた警官の概念に「報道の自由」など存在するはずもなかったのだ。

 平和の式典が、皮肉にも、中国で起きている少数民族弾圧の事実を炙(あぶ)り出した。(ルポライター)

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