Jリーグ2部(J2)アビスパ福岡の田中佑昌=175センチ、72キロ=がブレークの兆しを見せている。篠田新監督の下、MFからFWにコンバート。久々の「本職」に戻り、13日の徳島戦では2トップの一角として後半20分に登場し、いきなり結果を出した。
同39分にドリブル突破したMF中払からパスを受けると「視界の隅に見えた」逆サイドのFW大久保にクロス。相手DFの間を抜け、ゴール前に飛び込んだ大久保が頭で合わせた。監督の指示通り何度も相手サイドバックの背後を突いてチャンスをつくり出し、逆転ゴールをアシストした。
「やっぱりFWが面白い」。試合後はすっきりした表情で汗をぬぐった。昨季から右のサイドアタッカーとしてプレーしていたが「1本のパスでゴールに行けるところがMFとは大きく違う」と、抜群の得点感覚と瞬発力が生きるポジションの楽しさを再認識した。
今季はこれまで3得点。6月15日の広島戦では残り1分で劇的な同点弾を決めた。MF久藤に一度預けたボールを前に抜け出て受け取り、利き足とは逆の左足でループシュート。相手DFとGKの頭上を越えてネットを揺らし、チームトップの6得点を誇る大久保を「スーパーゴール」とうならせた。ゴールを決めた試合は負けなしと、勝負強さを発揮している。
福岡県八女市出身。幼稚園でサッカーを始め、小学4年から八女FCに。八女FCジュニアを経て、高校時代はアビスパ福岡U-18でボールを追い続けた。2004年、トップチームに昇格。ユース出身で初めてレギュラーに定着した選手として、周囲が寄せる期待も大きい。
昨年はU-22(22歳以下)日本代表候補合宿に参加。北京五輪に近づいたが、代表入りは果たせなかった。それでも目の輝きは失われていない。FWとしての実績を積み上げ、J1昇格への原動力となる目標があるからだ。次節の横浜FC戦(20日)へ向け「FWとして今度は点を取りたい」と、自らに言い聞かせるように宣言した。
(丹村智子)
=2008/07/19付 西日本新聞朝刊=