先日発表された、北京五輪のサッカー男子日本代表メンバーを見て、言葉を失った。
浦和レッズのアタッカー梅崎司選手(21)の名がなかったからだ。諫早市出身。大分トリニータで頭角を現し、注目していた。ドリブルで敵陣を切り裂くけれん味のないプレーは、今や多くのファンに愛されている。
母庭子さん(47)に少年時代の話を聞いた。背が小さく、元夫にサッカーを猛反対されたが、庭子さんは「息子のやりたいことをやらせてあげたい」と守り抜いた。息子が中3の時に離婚。庭子さんは昼夜を分かたず働き、大分ユースに入った息子の月謝を出し続けた。
落選の日、息子はブログに「母を北京に連れて行きたかった」とつづった。庭子さんは「いくつも壁を乗り越えてきましたから。まだまだこれからですよ」。そう、これからだ。【錦織祐一】
〔長崎版〕
毎日新聞 2008年7月17日 地方版