「西の比叡山」とも呼ばれる天台宗の寺院圓教寺(えんぎょうじ)(兵庫県姫路市)を開いた性空(しょうくう)(?~1007)の姿を写した「性空上人坐像(ざぞう)」(鎌倉時代)の中から、人骨を納めたとみられる容器が見つかった。X線撮影で確認した奈良国立博物館によると、像内に遺骨を納める例は中世以降多くあるが、平安時代以前のものは少なく、確認された中では最古という。
性空は平安時代の僧で、花山法皇(968~1008)とも交流があった。寺の記録などによると、没後に弟子らが肖像彫刻を制作。像が鎌倉時代の火災で焼失した際、焼け跡から瑠璃(るり)のつぼが見つかり、中に性空の遺骨が入っていた。その直後、京都の仏師によって再興された像に再び瑠璃つぼを納入したとの記述があり、今回の性空上人坐像である可能性が高いという。
同館での展示のため寺の許可を得て今月4日にX線撮影を実施。額の辺りに木箱に収められた直径約10センチの球体の容器があり、中に人骨とみられる破片が確認できた。【花澤茂人】
毎日新聞 2008年8月16日 東京夕刊