桜井淳所長の最近の講演内容-核燃料サイクル施設の安全審査におけるMC粒子輸送計算法-
テーマ:ブログ桜井淳所長に拠れば、核燃料サイクル施設の安全審査にMC粒子輸送計算法が採用されたのは、臨界安全解析では、いまから約20年前、遮蔽安全解析では、本格的には、つい最近のJ-PARCからであり、その理由は、臨界安全解析は、申請者側と審査側の判断の根拠となる『臨界ハンドブック』が原研から刊行(JAERI 1340(1999))され、また、誰が計算しても、計算対象の施設の幾何形状と体積線源条件が正しく入力されていれば、正しいkeffが算出できるのに対し、後者は、『臨界ハンドブック』に匹敵するハンドブックが整備されておらず(2006年に原子力学会から刊行された『モンテカルロ計算ハンドブック』はその試み)、また、固定源問題における分散低減法の的確な使いこなしに経験が必要とされ、第一世代のMC研究者がそのことを強調し過ぎたため、申請者側は、積極的に、主要な計算ツールと位置付けず、審査側にもMC粒子輸送計算法の研究や計算で実績のある研究者がいなかったためであり、LANL(Los Alamos National Laboratory)が半世紀かけて開発したMCNP(Monte Carlo N-Particle Transport Code System) には、分散低減法を容易に利用できるオプションが備わっており、また、分散低減法の主要な手法であるWWに対しても、完全ではないにしろ、WWGによる推定機能が有り、さらに、つぎのバージョンには、WWGよりはるかに優れた完全自動分散低減法(いわゆるフロリダ方式でのワンススルーでのウェイト算出・本計算実行)が組み込まれる等、安全審査のための標準計算ツールとしての条件、それから、MC計算者の養成と裾野の拡がりが確実に拡大しているため、遮蔽安全解析においても、あと、数年で、いまの臨界安全解析並みの普及を遂げるものと推察されます("水戸"主催の学術セミナーに参加すると以上の言葉の意味が的確に理解できるようになります)。