【萬物相】北京の地の利
14日に行われた北京五輪バドミントン男子団体の準々決勝。中国選手と対戦した李炫一(イ・ヒョンイル)は第1セットで15‐7とリードした。李炫一が得点するたびに中国の観衆から「ウー」というブーイングの声が上がった。李炫一はその後9点を献上した。李炫一が打ったシャトルコックがラインの内側に落ちても審判はアウトを宣告した。一方で、中国選手の2度打ちは反則にならなかった。李炫一は16‐19といったんは逆転されたが、再逆転して何とか第1セットを取った後、ベスト4進出を決めた。
13日には韓国と日本による女子ダブルス準決勝で、中国の審判が韓国の選手にだけ7回もサービスフォルトを宣告した。1回の試合で1度あるかどうかという反則だ。中国の審判は韓国選手がシャトルを腰より下で打たなかったとして反則点を取ったが、日本選手が同じことをしても見ないふりをした。決勝進出を決めていた中国は韓国よりも日本のほうが対戦しやすかったのだろう。
14日のアーチェリー女子個人で中国選手が第1射で10点を挙げた直後、朴成賢(パク・ソンヒョン)が弓を引こうとした瞬間、観客席からホイッスルが鳴り響いた。朴成賢の第1射は9点だった。ホイッスルを吹いた観客のすぐ上には中国のボランティア要員がいたが、ただ光景を眺めているだけだった。見かねた組織委職員がホイッスルを奪った。すると今度は最前列の観客が空のペットボトルを両手に持ち、朴成賢が矢を放つ瞬間にたたき始めた。朴成賢は8点を4回という不調を見せ、1点差で敗れた。
韓国のアーチェリー選手団にとって8点は「失敗」に属する。中国選手に敗れた朱賢貞(チュ・ヒョンジョン)は6点を2回も出した。120点満点で119点という世界新記録を持つ世界ランキング1位の尹玉姫(ユン・オクヒ)は準決勝で「騒音応援」を受け、中国選手に6点差で敗れた。韓国選手は中国側の地の利を生かした「応援」に備えて練習してきたが、常識を超える観衆の競技妨害は予想できなかった。もちろん中国選手の善戦もあったが、韓国選手が中国側のマナーの悪い応援で動揺したのは事実だ。
12日のボクシング・バンタム級1回戦で、昨年の世界ボクシング選手権で銀メダルを獲得した英国選手が中国選手に7‐17で敗れた。英国チームの監督は「審判が勝利を奪った」と不満を述べた。フェンシング、射撃などでも中国びいきの判定やマナーの悪い応援が批判を受けている。既に「最悪の五輪」だという声も挙がっている。中国が米国を破って総合1位の座に立つことで、「台頭するスーパーパワー」を誇示したとしても、得るものより失うもののほうが多い五輪になるかもしれない。
金泓振(キム・ホンジン)論説委員
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