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【北京=奥寺淳】北京五輪開会式で「中国の56民族を代表して」と紹介されて民族衣装を着て場内を行進した子供たちの多くは漢族だったことが分かった。北京五輪組織委の王偉副会長は15日の会見で認め、「中国ではよくある演出だ」と意に介さず答えた。
この場面は、国旗掲揚をする前に、「五星紅旗」を取り囲んで56の民族衣装を着た子供が入場してきたシーン。開会式のときに配られた資料には「中国の56民族の子供たち」と紹介され、民族の団結と融和を訴えるうえでのパフォーマンスだった。
王副会長は「これは演出。俳優(の子供)たちが各民族の衣装を着るのはごく普通のことで、何も特別なことではない」と反論。「みんなが親密で幸せであることを伝えるため、それぞれの衣装を着ただけのことだ」と話し、演出に対する考え方の違いであるとの見方を示した。
漢族を除く55の少数民族のうち、何人が本当の少数民族の子供だったかについては、「そうしたデータはない」(同組織委)としている。
開会式をめぐっては、テレビで放映された巨人の足跡を表現した花火は、過去に収録された映像をコンピューター・グラフィックスを使って加工したことが判明。「天使の歌声」と人気を集めた少女も実は「口パク」で、歌っていたのも別の少女だったことが明らかになっている。