教職員紹介
ディジタルメディア学科、情報科学研究科
市村 宗武 教授 (Munetake ICHIMURA)
- 理学博士
主な研究領域
- 原子核物理学
自己紹介
1966年東京大学理学系研究科物理学専攻を修了理学博士取得後、日本大学物理学科、東京大学教養学部を経て、1999年法政大学に着任、2000年情報科学部発足と同時に本学部教授に就任しました。物理学の教育と研究に携わって40年を超えたことになります。大学院、学部専門課程での教育にもちろん携わってきましたが、特に学部1,2年生の基礎物理の教育に力を注いできました。情報科学部では基礎物理に加えて基礎数学(線形代数学、数理リテラシ)の教育に当たっています。研究面ではこの40有余年、広い意味での原子核物理学の研究に携わってきました。原子核は原子の中心に位置し、陽子と中性子で出来ており、陽子や中性子はクォークで出来ていますが、総体としての原子核からクォークレベルに関る問題まで広く研究してきました。学問が深まりますと得てして細分化された特殊な問題だけを研究する人が多いのですが、私は比較的原子核全体を見据えた研究をしています。趣味はテニスで体育会系クラブ出身ですが、これといった戦績はありません。
研究テーマ
研究動機
「物質の根源を知りたい」
私が修士課程に入学した頃、現在のように素粒子研究と原子核研究の分野は分れていませんでした。修士論文では今でいう素粒子論のテーマの研究をしましたが、博士課程のとき群論を使って原子核の構造に関する面白い研究が出来、それを博士論文としました。その頃素粒子研究と原子核研究の分野の分離が顕著となり、自然と原子核研究に重点を置くこととなりました。修士論文は同級生との共著、博士論文は単著でともに指導教官との共著ではありません。研究の一番難しいところは自分で問題を見つけ出すことだと思います。皆さんもそうした気概を持って勉学、研究にあたって欲しいと思います。
スピン・アイソスピンの関る原子核の性質と原子核内のパイ中間子の役割
「原子核をたたいてみると」(雑誌パリティーに書いた解説の表題です)
原子核に陽子をぶつけて出てくる中性子を測定します。このとき原子核内でも陽子と中性子の置き換えが起こります。陽子と中性子を区別する自由度がアイソスピンで中性子がアイソスピン上向き、陽子が下向きです。こうして原子核のアイソスピンの関る性質が調べられます。また入射陽子のスピンの向き(自転の回転の向きになぞらえる)と出てくる中性子のスピンの向きを測定するとその向きの変化から原子核のスピンの関る性質が調べられます。陽子や中性子は湯川博士の予言したパイ中間子をキャッチボールしてお互い結び付いているのですが、パイ中間子は陽子や中性子のアイソスピンの向きとスピンの向きを同時に変えます。このようにして原子核反応の解析から、スピン・アイソスピン・パイ中間子の絡む原子核構造を調べることを現在中心課題としています。
担当講義
情報科学部
経歴
現 職
- 法政大学情報科学部教授
学歴・学位
- 1969年 東京大学理学部物理学科卒(理学士)
- 1963年 東京大学数物系研究科物理学専攻修士課程修了(理学修士)
- 1966年 東京大学理学系研究科物理学専攻博士課程修了(理学博士)
職 歴
- 1966年 - 1969年 日本大学理工学部専任講師
- 1969年 - 1987年 東京大学教養学部助教授
- 1987年 - 1999年 同 教授
- 1995年 - 1997年 東京大学教養学部長
- 1998年 - 1999年 東京大学副学長
- 1999年 東京大学名誉教授
- 1999年 法政大学イオンビーム工学研究所教授
- 2000年 - 法政大学情報科学部教授
- 2000年 - 放送大学客員教授
海外における職歴
- 1971年 - 1972年 ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校高等研究員
- 1973年 - 1974年 コペンハーゲン大学ニールス・ボーア研究所客員研究員
- 1976年 同 上
- 1980年 テキサスA&M大学 客員教授
- 1987年 スエーデン・ルント大学 客員教授
所属学会
- 日本物理学会
著書 (Books)
- 力学 市村宗武 (朝倉現代物理学講座 1, 朝倉書店, 1982)
- 現代物理学叢書 「原子核の理論」 市村宗武、坂田文彦、松柳研一 (岩波書店, 2001)
- 物理学入門 I. 力学 市村宗武,狩野覚 (東京化学同人,2004)
- 物理学入門 II. 電磁気学 狩野覚,市村宗武 (東京化学同人,2005)
- 改訂新版 量子力学 市村宗武,大西直毅 (放送大学教育振興会,2005)