産科志望、強い捜査批判 東北の医学生調査産婦人科医が刑事責任を問われた福島県立大野病院事件の判決を前に、河北新報社が東北の医学生を対象に実施した意識調査では、産婦人科医を目指す学生はほかの診療科の志望者に比べ、捜査側への批判が強い傾向が浮かび上がった。将来の産科医療の担い手として事件を切実に受け止め、医師不足に及ぼす影響の見方にも差が表れた。回答した49人の医学生のうち、産婦人科志望は7人。医師の逮捕には、うち5人が「医師に刑事責任はない」と答えた。産婦人科以外か未定という42人では3割程度だった。 理由は「手術中は予測できないことが起こる。すべてを医師の責任とする判断はおかしい」(弘前大6年)「症例は極めて珍しく、医師は1人勤務だったなど、すべての状況を加味して判断すべきではないか」(東北大6年)など。 「分からない」と回答した秋田大6年の学生も「仮に、事前にリスクをよく説明し、家族の同意が得られていたのであれば、医師だけの過失を問うのはひどい」と意見を寄せた。 「お産は病気ではない」と言われるが、分娩(ぶんべん)時の急変もあり得る産科医療の現場は生と死が隣り合う。 こうした医療の特性や体制の不備に言及し、捜査に疑問を投げ掛ける意見が目立った。 訴訟リスクや刑事責任を問われる可能性が産婦人科などの医師不足に与える影響は「大いにある」が1人で、「少しはある」が5人。ほかの診療科を志望する学生は「大いにある」が25人と6割を占めた。 全回答者の中で唯一、「あまり影響していない」と答えたのも産婦人科医を希望する学生。「訴訟が多いことに関しては、気を付けなければいけないと自覚しているが、リスクで志望先を選ぶわけではない」と理由を説明した。
2008年08月16日土曜日
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