大野病院事件、医学生も敏感 東北・意識調査調査は7月中旬から下旬にかけて、東北6県の4大学医学部、2医大の1―6年生を対象に聞き取りなどで実施し、49人から回答を得た。回答者の性別は男性29人、女性20人だった。 医師の逮捕については、4割近い19人が「医師に刑事責任はない」と答え、「逮捕の判断は妥当」(2人)と「書類送検や在宅起訴にとどめるべきだった」(15人)の合計を上回った。 医療事故が事件や訴訟に発展する可能性が医師不足に及ぼす影響は半数以上の26人が「大いにある」と回答。「少しは」(22人)を合わせると、ほぼ全員が影響を認めた。 医師や病院と患者間のトラブルが増えた原因(一部複数回答)は、23人が「センセーショナルな報道の影響」を挙げ、次いで「患者や家族の権利意識の高まり」(19人)。「説明不足など医師・病院側の対応」は12人だった。 志望する診療科は産婦人科が7人。産婦人科、小児科など医師不足が深刻な診療科を希望しない理由は「訴訟が多く、劣悪な環境に身を投じる勇気がない」(秋田大3年・男性)「訴訟リスクや過剰労働で仕事をしても報われない」(福島県立医大6年・男性)などの意見が上がった。 [大野病院事件]福島県立大野病院(大熊町)で2004年12月17日、帝王切開手術を受けた癒着胎盤の女性=当時(29)=が胎盤剥離(はくり)の過程で大量出血して死亡。福島県警は06年2月、執刀した加藤克彦医師(40)を業務上過失致死などの容疑で逮捕、福島地検が翌3月に起訴した。裁判では、医師の処置に伴う出血の予見可否などが主な争点となった。検察側は禁固1年、罰金10万円を求刑し、弁護側は無罪を主張。判決は20日、福島地裁で言い渡される。
2008年08月16日土曜日
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