落語家の月亭可朝がストーカー容疑で逮捕

　落語家の月亭可朝（本名・鈴木傑＝まさる）容疑者（７０）＝兵庫県西宮市＝が１２日、大阪市に住む元交際相手の５０代女性に対するストーカー規制法違反容疑で大阪府警淀川署に逮捕された。「聴くにたえないわいせつな言葉」（同署）を並べて２日間で１３回電話し、同じような内容のはがきなどを勤務先に送付し復縁を迫った疑い。可朝容疑者は「これはストーカー行為にならないと思います」と供述しているという。

　淀川署によると、可朝容疑者は０１年９月ごろ、当時４０代だった被害女性に「サインを書くから携帯電話の番号教えて」と頼み、ここから交際がスタート。しかし、ことし７月中旬、女性から別れ話を切り出された。

　女性はその後、交際を継続するよう迫られ、７月末に同署に相談。同署は女性に、自分の意思をはっきり伝え、ストーカー行為にあたるような電話や手紙の内容を証明できるものを保存しておくように指導していた。女性はこの助言に従い、８月２日に「これ以上しつこくすると表ざたにする」と、可朝容疑者に“最後通告”をしたという。

　しかし、可朝容疑者は４日に２回、５日に１１回の計１３回、女性に電話。内容は、卑猥（ひわい）な言葉で女性を誹謗（ひぼう）中傷しながら、復縁を迫るものだった。また、４日には、女性の勤務先にあてて「社内の男と付き合っている」などという内容の手紙とはがきを１通ずつ送りつけた。電話同様、卑猥な言葉が並び、差出人は本名の「鈴木傑」だった。

　女性は電話をテープに録音し、手紙、はがきとともに淀川署に被害届を提出。これを受けて１２日午前、淀川署員が淀川区の路上で任意同行を求め、署内で逮捕した。女性は務めていた会社をすでに退職している。

　調べに対し可朝容疑者は「（問題となった）行為についてはやったことに間違いはありません」と供述する一方「これはストーカー行為にならないと思います」などと話しているという。

　関係者によると、可朝容疑者は結婚しており、妻との間に一男一女がいる。周囲には「自慢の子供だ」と話していた。師匠の桂米朝、弟子の月亭八方は、コメントを控えている。

　逮捕を受け、上方落語協会は天満天神繁昌亭（大阪市）で１６日と９月１６日に予定されていた可朝容疑者の出演を取り消すことを決めた。

　◆月亭　可朝（つきてい・かちょう）本名鈴木傑。１９３８年（昭１３）３月１０日、横浜市生まれ。三代目林家染丸に入門後、５８年林家染奴で落語家デビュー。同年に三代目桂米朝に再入門し、二代目桂小米朝に改名。６８年に月亭可朝襲名。６９年、「嘆きのボイン」がヒット。７１年、「一夫多妻制」を公約に掲げ参院選に出馬したが、女性層の反感を買い落選。０１年にも参院選に立候補したが大敗。