サイエンス

文字サイズ変更
ブックマーク
Yahoo!ブックマークに登録
はてなブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷
印刷

後期高齢者医療制度:先月分の自治体通知、「軽減措置」反映ゼロ--毎日新聞全国調査

 ◇混乱に拍車

 後期高齢者医療制度(75歳以上)で、7月に加入者へ送付した保険料の決定通知書に、政府・与党が6月に決めた軽減措置を完全に反映させられた自治体は一つもないことが毎日新聞の全国調査で分かった。一部だけ反映させたところも6府県にとどまった。ほとんどの自治体は9月までに軽減措置を加味した通知を再送するが、高齢者によっては異なる保険料が短期間に通知される場合もあり、制度の混乱に拍車をかけそうだ。

 軽減措置は低所得者の負担を減らすことが狙いで、08年度の暫定措置と、09年度以降の恒久措置に分けて行われる。新制度の保険料は加入者全員が定額を負担する「均等割り」と所得に比例する「所得割り」の2本立てだが、今年度は(1)均等割りで現在7割軽減を受けている低所得者世帯について、10月以降の保険料をゼロとする(2)年金収入が153万~211万円の加入者は所得割りを原則50%軽減する--などが柱。

 今年度の軽減対象は制度加入者1300万人のうち、均等割り部分が470万人、所得割り部分が90万人。

 調査によると、軽減措置を一部反映させたのは、静岡▽大阪▽福岡▽長崎▽大分▽鹿児島の6府県。いずれも該当者の特定が比較的容易な均等割り部分のみ反映させた。

 三重県はこれとは別に、「軽減前と後の保険料を通知すれば、高齢者に余計な混乱を招く」として軽減前の通知を取りやめ、軽減後に一本化。今月中旬から郵送を始めた。

 新制度を運営する各都道府県の広域連合は最新の07年所得に基づく保険料の決定通知書を7月中に送り、これに基づき10月から、年金天引き(特別徴収)を始める予定だった。しかし、軽減措置の決定を受け、多くは軽減前の保険料をいったん通知し、「変更通知書」を再送する二度手間を強いられている。

 変更通知書の発送時期は、「9月中」(宮城県)▽「8~9月」(長野県)--などの自治体もあり、徴収開始の10月直前になるところもありそうだ。【まとめ・中西拓司、佐藤丈一】

毎日新聞 2008年8月15日 東京朝刊

検索:

サイエンス アーカイブ一覧

 

おすすめ情報