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【特報 追う】アーバちゃんと家族(上)一家そろい生活に安心感

2008.4.30 02:32

 ■日本で治療に専念、父親の決意固く

 ネパールで小腸を摘出し、東北大学病院で治療を受けている同国の女児、アーバ・ドゥワディちゃん(8)が来日してから半年が経過した。この春には、病棟内の院内学級で小学3年生に進級、日本語もずいぶん理解し、話せるようになったようだ。ただ、治療の長期化が避けられない状況をはっきりと認識すればするほど、家族の苦悩や葛藤(かつとう)は深くなっている。今回は3回にわたり、アーバちゃんをめぐる家族模様を描く。(豊吉広英)

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 東北大学医学部小児外科の医局。普段は医療関係の雑誌などが無造作に置かれている室内だが、この日は香ばしいスパイスの香りが漂っていた。

 テーブルの上には、スープ、チキンカレー、豆カレー、ジャガイモとキュウリの漬物。それに、ミルクと米のデザート。アーバちゃんの父、アルンさん(28)が、普段世話になっている医師や通訳ら関係者のために、得意のネパール料理を作ってきたのだ。

 「ちょっと辛くないような味付けにした。日本流のアレンジ」とアルンさん。アーバちゃんはアルンさんの横で、スパイスの効いた漬物を口に入れ、「からーい」と言いながら渋い表情をしている。

 いつも家族の食事を作っているアルンさんにとって、これぐらいの料理なら朝飯前だという。医師らから「すごくおいしい」と声をかけられ、うれしそうにほほえむアルンさん。

 いつもとは違う昼食を終え、アーバちゃんの採血のために病室へ戻ると、母、バワニさん(30)のそばにいる1人の少年の姿が目に入った。

 「パパ」と声をあげながらアルンさんに駆け寄ってきたのはアーバちゃんの弟、アバス君(6)だ。1人ネパールの親族の元に残されていたが先月、一時帰国していたアルンさんが、日本に連れてきたのだ。アーバちゃんの病をきっかけに、離ればなれになった家族が、半年を経てまた1つになった。

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 2月上旬。東北大学病院内の面談室で、アーバちゃん一家は主治医の天江新太郎准教授や和田基講師から、現在のアーバちゃんの状態や今後の見通しなどについて改めて説明を受けていた。

 天江准教授らは、昨年末にアーバちゃんの開腹手術を行った際、その結果と、ある程度の見通しは伝えていたのだが、それが一家にとってどれぐらいの意味を持つのかを、再度確認してもらいたかったのだという。

 その説明内容は、一家の顔色を変えるに十分なものだった。

 腹部には、十二指腸が一部残っていたものの、その他の小腸は全く残されておらず、大腸も半分なかったこと。静脈に挿したカテーテルから高カロリー輸液を投与する中心静脈栄養法(PN)という現在の治療は、当面続けなければならないこと。ネパールにはPNを行える環境がないこと。すなわち、PNを行っている間はネパールへ帰国することはできないこと。さらに踏み込めば、一生帰国できない可能性もあること−。

 「来日した当時は、しばらく治療したら帰ることができるという気持ちだったし、その後もどこかに帰れるという気持ちも持ち続けていたのかもしれない。説明を受けるごとに、落胆が目に見えた」と天江准教授。

 一通りの説明が終わると、両親は天江准教授らに、こう切り出した。「息子を日本に連れてくることはできないだろうか」。一家でずっと考えていたことだという。

 アルンさんは、そのときの気持ちを、こう説明した。「やっぱり、家族は1つじゃなきゃ、いけないと思う」。置かれている状態と立場、それをしっかり認識した上での決意だった。

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 アーバ・ドゥワディちゃんのこれまで 生まれつき腸管の固定が不十分で、幼少時から腹痛や嘔吐を訴えていたアーバちゃんは、昨年8月、腸捻転を発症、首都カトマンズ市内の小児病院で、壊死(えし)していた小腸のほぼすべてと大腸の半分を摘出した。現地医師から「ネパールでは治療ができない」と宣告されたが、家族が東北大学医学部小児外科に助けを求め、同年9月に来日。現在東北大学病院に入院して治療を続けている。治療費や滞在費などは、同病院の医師らが設立した「アーバちゃん基金」により賄われている。

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 「アーバちゃん基金」への振り込みは、七十七銀行大学病院前支店・普通口座5498040「アーバちゃん基金代表林富」。ATMで振り込む場合、受取人欄に「アーバチャンキキンダイヒョウハヤシユタカ」。

 基金の会計状況やアーバちゃんの近況は、医師らが運営するブログ「Aabhaちゃんの経過報告」(http://blog.livedoor.jp/duwadi_aabha/)で確認できる。

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