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【主張】8月15日 日米の絆を確かめたい

2008.8.15 03:11
このニュースのトピックス主張

 ■将来を誤らせぬ鎮魂の日に

 63回目の終戦の日を迎えた。日本列島はあの日と同じ蝉(せみ)しぐれの中で「鎮魂」の色に染まる。

 だが一方で今、日本人の関心の多くは、隣国・中国で開催中の北京五輪に向けられている。日本選手の活躍にだけではない。中国の国力を誇示することを最大の目的にしたような五輪のあり方そのものに対してでもある。

 その開会式には日本や米国、ロシアをはじめ80を超える国の首脳が出席した。五輪史上異例の多さである。その中には、チベットの人権問題を理由に欠席を表明していたフランスのサルコジ大統領の姿もあった。

 ≪「大国」見せつける五輪≫

 中国による外交戦術の成果という面もある。だがそれよりも、経済発展や軍拡によるこの国の強大化を、世界中が良くも悪くも無視できなくなってきたことの表れといっていいだろう。

 「帝国」復活を思わすような中国の台頭は、日米安保条約による米国との同盟を軸に、安全と繁栄を保ってきた日本の国家戦略を根本的に揺さぶる要素にもなってきた。それだけに、北京五輪の最中に終戦の日を迎えたことは、日本の戦後と将来を考える上で大きな意味を持っているといえる。

 米国のブッシュ政権は、北朝鮮の核申告と引き換えに11日にも可能だった同国へのテロ支援国家指定解除を延期した。だがこれは、指定を拉致問題解決のカードとして期待してきた日本にとって気休めにしかならない。

 米国世論が中国に傾斜していくのは避けられそうにない。米国が東アジアの安全保障の枠組みで、日米同盟より6カ国など多国間の交渉に重点を置いていこうという流れを止めるのは容易ではないとみられるからだ。

 しかし日米同盟を軽視し、これを無力化させようとしているのは米国だけではない。

 インド洋で日本の海上自衛隊が行っている米国などの艦船への補給活動は今年になって約3カ月も中断した。国会の衆参ねじれでテロ特措法の成立が大幅に遅れたためである。

 新たな法律が必要な補給継続をめぐっては、野党に加え公明党も反対するなど極めて難しい状況だ。補給はアフガニスタンでのテロとの戦いを進めるためのものだ。これでは、米国内に「日本は助けを求めるだけで助けにはこない」と、日米同盟への疑念が生じても仕方あるまい。

 ≪日英同盟の廃棄に学ぶ≫

 今、日本国内にも「国連中心主義」を唱える民主党の小沢一郎代表をはじめ、日米同盟より多国間の協調を重視する声が急速に強まっている。こうした状況は、かつて日英同盟が廃棄されたときと似ていると言わざるをえない。

 明治35年(1902年)に結ばれた日英同盟は、日露戦争での日本の勝利に貢献し、国際社会での日本の安定した地位を確保させた。しかし大正10年(1921年)のワシントン会議で、新たに日米英仏4カ国条約を結び、同盟は廃棄された。

 中国への進出をうかがう日本への反発から、日英間に亀裂を入れようとする米国や中国の外交戦略に乗せられたためだった。日本国内にも「新外交」として同盟より多国間の協調を求める空気が強まっていた背景もあった。

 4カ国条約は太平洋地域における国際協調をうたっていたが、同盟とは異なり、何ら日本の安全を保障するものではなかった。唯一の同盟をなくした日本は国際的孤立を深め、先の大戦での破滅の道をたどることになる。

 今、日米同盟に代わり、価値観の異なる中国や、領土問題などで日本に敵対姿勢を強める韓国などと、多国間の枠組みを選ぶとなれば、日本はまた、孤立の道を歩むことになるだろう。

 むろん外交は、相手国があってのものだ。米国の「変心」に備えて「自立性」を強めることも大切である。

 だが、その前にやるべきは、補給の継続などにより「同盟の成果」を示し、日米の絆(きずな)を確かめることだ。中国や北朝鮮などによる同盟への揺さぶりや、これを弱体化させる動きは封じていかなければならない。

 国の将来を誤らせないような設計図を描かなければならない。それこそ、300万人にも上った先の大戦の戦没者たちの霊を慰めることになるのである。

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