メスいらずの究極手術−。大阪大学医学部付属病院は14日、口や肛門、膣など体の開口部から内視鏡を入れて体の表面の傷を少なくする新しい手術法を実施し、患者の腫瘍(しゅよう)の摘出に成功したと発表した。阪大によると、患者の負担が少なく術後の回復が早いのがメリットで、治療での実施は国内初という。
新しい手術法は「NOTES」(開口部からの経管的腹腔鏡手術)と呼ばれ、平成16年にアメリカで報告された。口や肛門などの開口部から胃や大腸、ぼうこうなどの管腔臓器を通じて体内に入り、腫瘍などを切り取るため、体の表面に傷跡を作らずに手術ができるという。
今回の手術は13日に実施。胃粘膜に腫瘍がある女性患者(55)の膣壁に約1センチ程度の穴を開けて内視鏡を体内に挿入。胃下部の約3センチの腫瘍を切除した。他に患部などを見るために腹部を2カ所、約1センチ切開して別の内視鏡を入れた。体表面の傷は計2カ所で、女性患者は術後も鎮痛剤を使用せず、痛みもないという。
通常の開腹手術では約15センチ、傷が少ないとされる腹腔鏡手術でも最大で約4センチ程度の傷ができるとされるが、今回の術式では将来的に体表面の切開を行わずに、腹部の手術ができる可能性があるという。中島清一助教は「体への負担を最小限にする究極の低侵襲手術。患者の早期の社会復帰が可能になり、メリットは計り知れない」と話している。
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