大阪府の財政再建に取り組む橋下徹知事の府政改革で先般、ネットアンケートの支持率が六割を超す結果が出ました。半面、改革に“痛み”が伴うと予想する人も九割超に。財政再建への期待はもちろんですが、地域住民の幸福という「価値観」を逸脱しない成果を期待したいところです。
環境問題では、CO2排出量削減へコンビニエンスストアの深夜営業自粛要請の方針を打ち出した京都市。「次代に豊かな自然環境を引き継ぐ」と強調する門川大作市長は、市民が公共交通の動いているうちに帰宅することで、家族のだんらん、地域のきずなという日本人本来の価値観を取り戻したい考えのようです。
最近よく耳にする価値観。少子化、補助金減という厳しい環境下で経営を模索している関西などの大学関係者は「教育の価値観が揺らいでいる」と嘆きます。
日本が戦後の荒廃から高度成長を遂げた時代、研究者は欧米に追いつく技術革新、生活の向上といった明確な目標へまい進しました。が、ある大学学長は「物質的に満ち足りた今の社会で、学生に夢を与えることが難しい」。教育の在り方を考える政府の審議会にも「どれも技術論に終始し、教育の価値観を問い直すものではない」と、厳しい指摘があります。
一方、熱戦が続く「北京五輪」は人権問題、テロといった多くの課題を抱えながらの“平和の祭典”に。開会式当日にはグルジアの武力衝突も起きました。
あす十五日は終戦記念日。「平和」という価値観だけは決して揺らいではいけないと、教えてくれる日です。
(大阪支社・大本哲弥)