手に汗握る熱戦が続く北京五輪。テレビの前にかじりついている人も多かろうが、夏休みは本とじっくり向き合う貴重な機会でもある。
先月下旬には、英国の世界的ベストセラー小説「ハリー・ポッター」シリーズの完結編となる第七巻の日本語版が発売された。魔法使いの少年ハリーが、学園生活を送りながら闇の勢力と闘う、冒険と友情の物語だ。
一九九九年に日本語訳の第一巻が出て以来、第六巻までで約二千二百万部に達した。映画公開も追い風となってブームは加速。子どもたちの読書習慣にも大きな影響を及ぼした。
岡山県読書推進運動協議会は、県内の小学生を対象に「本の世界たんけんカード」事業に取り組んでいる。カードには十冊分の本の題名や感想を記録する欄がある。埋まれば最寄りの書店で次のカードをもらう。五十冊読破すれば表彰され、氏名が山陽新聞紙上で紹介される。
狙いは読書のきっかけづくりだ。昨年十月にスタート、三月末までの達成者は約四千五百人に上った。本年度も事業を継続中。参加する百四十五小学校の約二万人が対象で、締め切りは九月末だ。
夏休みは「ハリポタ」など普段なかなか手が出ない長編物に挑戦するチャンス。心の扉をひらく本との出合いを通して、考える力や感性を豊かにはぐくみたい。