「ひかり」には乗れても「のぞみ」には乗れない
普通の人が、何気なくしている動作、それが、実はいろいろとできない。たとえば「ウィンク」。奥さんはウィンクしようとすると、どうしても両目をつぶってしまう。無理矢理片目だけをこじ開けようとすると、口が開き、顔がナナメになるから、少し怖い。なんでも脳の構造上「協調運動機能」に障害があることが脳波測定結果、判明したそうだ。だから、手と足を同時に動かす操作が難しい。
具体的には、クルマの運転でサイドブレーキとアクセルを同時に操作できない。奇跡的にマニュアルの普通自動車免許を取得したが、実際にはマニュアル車が運転できない。一方で、動物的な動態視力を有しているADHD(注意欠陥多動性障害)だから、国産車の限界速度である時速180キロ(仮に出したとしてですがー)が速いと感じていない。確かに反応速度も異様に速いから、本人的には、余裕の運転感覚。しかし、同乗した常人には怖い。
この感覚のギャップはADHDに効を奏する特効薬を飲むと見事に落ち着くから、やはり普段抑え切れない衝動性に悩まされているのだと理解できる。協調運動に問題がある上に「感覚過敏」ときているから、また日常生活に結構、支障がある。顔は水につけられない、つまりは泳げない。海やプールにも滅多に行かないし、行っても水には入らない。水自体で言えば、例えミネラルウォーターでも飲めない。薬はお茶で飲む。水シリーズで言えば「うがい」ができない。何としてもできないのだから、致し方ない。
次いで「大きな音」「嫌な音」が苦手。だから地下鉄なんかには乗れない。ビミョーなのは、ギリギリ我慢して大阪の地下鉄「御堂筋線」には乗れるが、「谷町線」には乗れない。なんでも地下鉄の深度による音の違いらしい。また、新幹線「ひかり」には何とか乗れるが「のぞみ」には乗れない。何でも、のぞみには耐え難い「G(圧力)」と「揺れ」があるらしい。特に静岡辺りは耐え難いらしい。これは音ではない感覚過敏ということになる。
音のほかには、都会の喧騒にも耐えられない。人込みや都会のただ中に出向くと、ぐにゃぐにゃになり、その日は何もできなくなる。「感覚統合」が出来ていないということでは、高い所がダメ(いわゆる高所恐怖症)。ジェットコースターはもちろん、揺れる吊橋など渡ろうものなら、山間部に悲鳴がこだまする。自分の大声は大丈夫らしい。当然に飛行機は絶対拒絶。いまだに「あんな鉄の塊が飛ぶなんて信じられない!」とふんまんやる方ない様子で語るのである。
あと「臭い」に、異様な過敏さを示す。デパートの一階に有りがちな化粧品売場では、自ずとマスターした完璧な口呼吸に切り換え、いきなり鼻詰まり声になる。また、以前に大阪の地下で道に迷った際、犬の様に「クンクン」して「駅はこっちだ!」と言うから行ってみたら、昔からある大阪駅そばの「串かつ屋」にたどりついたことがある。犬か?
さらには「触覚過敏」が激しい。ネトネトした感触のものはダメで、ハンバーグのミンチなどは素手では決して握れない。ビニール手袋をはめて、何とか握ってる。なのに釣ってきた魚「カワハギ」の皮を剥ぐ感触はたまらなく大好きだというのだから、変わってる。で、子供にでも不意に「チュー」されると、された側の身体半分だけに「さぶいぼ(関西便で、鳥肌のこと)」がさーっと広がり、見た目に珍しい。本人は苦しんでいるのだが、珍しい光景だったりする。子供たちが面白がって再度しようものなら、ドスの効いた声で怒鳴るから恐い。
とても興味深くよませて頂きました。
感覚過敏のこと、とてもわかりやすかったです。
私の子供が発達障害なのですが、私自身にも当てはまることが多々あって、納得する事ばかりでした。
こういった個性を上手に使って才能発揮でき、楽しく生活できるといいなあ・・と思いました。
反面、理解を得られにくいことも多いですよね。
そのあたり、たくさんの人が少しでも感じとってくださることを祈りたいです。
Kayoさん
コメントありがたいございます。
そうですね
「みえない障害」は
たずさわるものですら
理解に悩みつつ。
発達障害と感覚過敏、わたしは根の部分は似ているー、おなじように思います。
こんにちは、史郎さん。
お疲れ様です。
奥さんの特性はブログで、
ときどき「飛行機は苦手なんだ」
「新幹線のぞみは苦手なんだ」
「雑踏も苦手なんだ」っと・・・読ませていただいておりましたね。
わたくしも「発達障がい当事者」として、この頃感じ始めたのですが、過度に集中してしますと・・・眼精疲労になる、目薬を使うようにする、あと腰が痛くなると湿布を貼る(これは、精神科で処方してもらっているのです。)、あとケータイミュージックプレーヤーを耳につける、ことで対処ができ、わかればわかるほど、大変かも知れんなと思いますけど、それをプラスに考えて、この生活があっているのだ自分には思うようになり始めましたね。
あ、わたくしも飛行機の「離陸」「着陸」は、Gがかかってから苦手ですね。
あるブログで、奥さんがお子さんから・・・チューされているところみましたよ。
確かに、ちょっと顔が引きつっているなと感じましたね。(笑)
発達障がいは、ひとりひとり違うことが、たたありますので、これから自分もどんな気付きがあるか、わかりませんね。
でも、そこを補いながら、ポジティブにですね。
あと、わたくしは・・・笑えるかもしれませんが、自動車学校で免許を見事に取れた時に、女性の教官が涙を流してから、お手紙をいただきましたよ。
それくらい、わたくしが免許取れたのも、奇跡かも??
わたくしは、車の運転で、スピードが速すぎるのは苦手なので・・・ゆっくりと、じっくりと安全確認しながら、親からは慎重な運転やねと言われてますよ。
(会社員時代は、慎重すぎるおぼつかない運転が、怖いと言われておりました・・・。
が、免許取得して9年・・・たぶんみんなが、安心して乗れるかも・・・バス天国の福岡で鍛えられたので。)
いろいろと、違いがあっていい、
苦手なことがってもいい、またそれが得意になる、「いろいろなことがあっていいじゃないか!!」と思うのですね。
メリットばっかりの人はそんなに好まないが、そこにデメリットがあるとホッとする。
人間・・・完璧な人はいないので、だから人間ですもの。
笹森ファミリーいいですね・・・。味があります。
やっぱり「へんちゃんさん」は、宇宙一・変のお師匠さんです。
これからも、よろしくお願いしますね。
はじめまして。
奥様のへんちゃんさんにはブログなどでお世話になっています。奥様には相談に乗ってもらったり、優しい言葉をかけてくださったりして(^^)vありがたいです。
実は私も奥様と同じ障害を持っておりまして、あなたの書かれている特長は、ほとんど私にあてはまります。
なので密かに「あなたの奥様は・・・生き別れた妹なんじゃ・・・」なんて考えたりしたものです(私には姉がいるのですが、私とは真逆の定型さんですので)。犬並みの嗅覚(私が「においで誰が来たかわかってしまうの」というと夫は唖然としてました^^;)、高所恐怖症などほとんどそっくりです。今度それらを踏まえて「擬似体験」をしてみようか、と長男の学校の先生に提案してみようかな、と思っています。
奥様は幸せだな、といつも感じますね。
うちの夫は「こんな障害を持つ女性とは結婚したくねぇ」でチョンですよ(T_T)離婚話もあったり、DVもあったりで、私はいつも夫の顔色をうかがう毎日。最も性質が悪いのは「仲のいいご夫婦」にみられてしまうことです。夫はいいお父さんで、私は駄目主婦で駄目母のレッテルを張られてしまってます(T_T)あなたのような方がいれば私たちはどんなに救われるか、といつも思います。
確かに静岡あたりは苦しいですね。わかりますよ。私も夫の実家へ帰るたびに新幹線に乗りますが、静岡の山の多さ(当然トンネルは多い、カーブはキツイなど)はわれわれには苦しいもんです(耳がツ~ンとしたりするしね)。なので私も余程の事がない限り「こだま」を利用しています。
長くなってしまってごめんなさい。
8月の放送、楽しみにしております。
バイク、かっこいいですね!
私も大きいバイクの免許欲しくなってきた。
私は原付免許しか持っていませんが、理絵さんと同じく、よく免許取れたなと思うし、
アレだけドンくさいのに毎日どうにか乗れているのが奇跡な気がします。
(しかも乗っているのはカブです)
感覚過敏、私も色々と持っているので、
すごくよくわかりました。
前に理絵さんがブログに谷町線は怖いというような事を書かれていたのですが、
毎日職場に行くのに谷町線を利用している私も警笛の音とか
電車が来る時の音楽とかドアが開く音、発車の音とか何となくうるさいなぁと感じていて
耳ふさぎたくなる時もありました。
理絵さんの感覚がわかる気がします。
後、においでいろんな物を感じ取るっていうの
私も何でもとりあえずクンクンするのでわかる~って思いました(^o^)
前の職場で、犬年の人は犬だけにやたらとクンクンするよなっていうのが話題になった事があり、
同じ年の職場の人と激しく同意した事ありましたが・・・。
うちの長女のようにカビがついたとかいって、
イスに座れなくなったりカバンがもてなくなるみたいに生活に支障をきたしかねない状態も
後々修正するのに本当に苦労しているのですが、
苦手な部分を自分で伝えたり、自分なりにやっていける方法を
生活の中で学んでいってうまく付き合っていけるようになればほんの少し楽になれるのでしょうね。
学童保育の仕事に携わる傍ら、子どもの発達障害について勉強中です。
笹森さんの実体験は、本からは得られない情報が多くて参考になります。
今回の「感覚過敏」は、その重要性が具体的によく分かりました。
子どもと触れあう仕事ですので、気をつけたいと思います。
ただ、この文章の流れを拝見すると、感覚過敏は
あたかも「ADHDの特性」であるかのように書かれているのが
気になりました。
日本発達障害学会理事などを務めていらっしゃる杉山登志郎先生が
お書きになった「発達障害の子どもたち」(講談社現代新書)P71には
「自閉症の…重要な問題として、知覚過敏性の問題がある」と明記されて
います。
僭越ですが、補足させていただきます。
私も、泳げません。高所恐怖症です。臭いに敏感です。人ごみが苦手です。車の運転もできません。奥様と同じですよ。
岸さん
こんにちは。
岸さんも、生活の中で、たくさんの工夫を身につけてこられたのだな、と思いました。
体験から得られる工夫は、とても貴重だと感じます。
また、自動車学校で免許を見事に取れた時に、女性教官が涙を流して手紙をくださったエピソードは、とっても感銘を受けました。
そんなお話は、読む方の気持ちに届くと、そんな風に思いました。
ルナルナさん
コメントをありがとうございます。
こちらこそ、いつもお世話になっています。
お話をうかがっていると、ほんとうに奥さんと似た感覚をお持ちなのですね。
なお「いい夫婦」に見えるところは、まったく、うちも言い訳ができませんのです。
「夫婦」は特にそのように見られたいという思いが、なんか、わたしたちにも、あります。
「石の上にも3年」という言葉を思い、浮かんだのは
「夫婦」としてのお話をできるようになるまで、わたしたちは13年くらいかかっています。
(今年、結婚16年目ですから、わりと近年ですね)
kebo さん
こんにちは。
感覚過敏について、奥さんと似たところが、おありなのですね。
親子でも、感覚過敏の出方は違うように感じますね。
うちは、家族4人がみな、感覚過敏なのです。出方は、さまざまなのですが、「ツライねぇ」と、みんなで共感しあえるのが、助かっています。
こだわり同様、理解がされにくいことなので、そのところの困り感はほんとうに、身にしみる思いです。
ひまわりさん
ていねいなコメントをありがとうございます。
また、補足いただき恐縮です。
補足について、ひまわりさんの、おっしゃるとおりと思います。
わたしは、文章の流れのなかで、専門的な検認にまでいたらないところがあると思いますので、とても助かります。
ありがとうございました。
トコルナ さん
ほんとうに、奥さんと似たところが多いですね。
もし、一緒に旅行したら「珍道中」となるかもしれません。
でも、気を張らなくていいかもしれないですね。
こんにちは。理絵さんの感覚過敏についてとてもわかりやすく書かれていますね。
前半の衝動性についてはADHDの特性、感覚の過敏については自閉症スペクトラムの特性ですね。でも、自閉症スペクトラムという考え方でもわかるように、発達障害はほとんどがダブっています。ADHDのお子さんの何割もに自閉圏の特徴がみられます。理絵さんもアスペルガー症候群とADHDとその他の特性をお持ちです。
診断名が何かということより、その人が何に困っているかで支援していきたいですね。
理絵さんは、発達障害のデパートのように、たくさんの障碍を持ち、日常生活に苦労されています。パートナーであるご主人がそれを理解し、広い心で助け合っていることに常に心打たれます。
お子さんに対しても、特性がわかるからこそ、自然にフォローができています。ご両親に日常の中で温かく見守られているお子さんたち、本当に幸せだと思います。