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2008.08.12 22:10 |  診療  |  こどもの精神科  |  発達障害  |  NINA  | 推薦数 : 1

触手を伸ばすとき。

先日書いた記事,セカンドオピニオンの話の続きです。

本来なら「セカンド」で終わるべき診察を,私が意識的に「転医」という形でお受けするとき。
それは,
  1. 高校卒業前の患者さんで,
  2. 私が今の主治医の先生の診断に疑問を感じたとき。
  3. そして,本人やご家族も今の診療に疑問を感じて,転医を望んでおられたとき。

やっぱり,地域のなかで数少ない児童精神科医を志す身としては,自分が出会うことのできた児童青年期の患者さんのためにはぜひ親元を離れる前に何かお役に立てることがあるならお手伝いしたいところ。

成人の患者さんなら,患者さん自身が転医を望めば移ることのできる診療先はいくらでもあるけど,こどもの患者さんではそういうわけにはいかないのもわかっているし。

なによりも,治療的に介入するなら大人になってからよりもこどものうちのほうがずっと変化も起こしやすいし,意味があると思うから。

本来ならセカンドオピニオンの患者さんをお引き受けすることは今の職場では他のスタッフにいろいろな面で迷惑をかけることになってしまうので極力避けたいのですが,こういう事情で上記の3つの条件を満たしている患者さんだけはお受けしよう! と思っているわけです。

さっき「診断に疑問」と書いたけど,私が最も憤りを感じるのは,高機能広汎性発達障害やアスペルガー症候群の患者さんをつかまえて統合失調症だと本人・家族に告知して治療している医師たち。

いや,違いますから。

それも,統合失調症としてきちんと診てくださっているならともかく,「薬は一生やめられない」「就労は無理」と決めつけたりとか,幻聴を訴えない患者さんには「病的体験は否定する」,幻聴を疑問視するご家族には「病気の受容ができていない」と言ったりとか…。

希望ある若者の未来を,そんなやりかたで踏みにじっていいのか?!

もちろん,このことばは私自身にも降りかかってきます。

若者の未来を自分の手で潰すことのないように,お引き受けする以上は全力でサポートさせていただきたいと思います。

そのためには,これからも知識と経験をもっともっと積み重ねていかなくちゃ! です。

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