【モスクワ=星井麻紀、トビリシ=喜田尚】グルジアとロシアの武力衝突で、ロシア国防省は14日、グルジア中部ゴリからロシア軍を撤退させると発表した。だが、発表後にロシア軍が新たにゴリに入り市内への交通を遮断。事実上の占拠状態が続いており、グルジア側は反発している。
インタファクス通信などによると、ゴリのロシア軍は、2日かけてグルジア警察に町の管理機能を引き渡し、撤退する計画だった。だが、イタル・タス通信によると14日午後、ロシア軍が新たにゴリに入ったため、グルジア側が町を離れた。このため、引き渡しは中断した。
ロシア国防省は、ゴリに入ったのは撤退途中のロシア軍で、撤退は順調であることを強調した。だが、首都トビリシからゴリまでの高速道路の途中には、ゴリを離れたと見られるグルジア軍の装甲車が1キロ近くにわたって並び、待機させられたままだ。ゴリの入り口にはこの日、ロシア軍の検問所が作られ、市内への立ち入りを一切禁じている。
グルジアの主要港がある黒海沿岸のポチに、ロシア平和維持部隊の戦車が入ったという情報もある。
また、イタル・タス通信によると、グルジア議会は14日、臨時会議を開き、旧ソ連構成国家で作る独立国家共同体(CIS)からの脱退を全会一致で承認した。
一方、ロシアのメドベージェフ大統領は14日、グルジアからの分離独立を求める南オセチア自治州のココイトイ大統領、アブハジア自治共和国のバガプシ大統領とモスクワで会談。両地域の地位について「南オセチアとアブハジアの住民の決定を支持する」と話し、分離独立の議論を後押しする考えを改めて示した。ココイトイ、バガプシ両大統領はメドベージェフ氏との会談で、グルジアとロシアが合意した事態正常化のための「6原則」に署名した。