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経済

インドネシア、電力不足深刻 需要拡大、供給追いつかず

8月14日8時26分配信 フジサンケイ ビジネスアイ


 ■改善なお時間…進出足かせも

 燃料価格の高騰と慢性的な設備不足を主因に、インドネシアで電力不足が深刻化している。操業中の工場での停電が頻発し、日本をはじめとする進出企業は不満を募らせている。企業の撤退を心配した政府は工場操業日の一部を休日に変更するなどの対応を進めているが、抜本的な改善には時間がかかる見通しで、同国への直接投資に影響しかねない情勢となってきた。(佐藤健二)

 インドネシア政府は、電力不足対策として、7月下旬、進出企業が集中するジャワ島とバリ島で工場の操業日を1カ月に2日間、平日から土曜と日曜に変更するよう求めた。ピーク消費電力が小さい休日に大口需要家の利用を分散することで、停電を少しでも減らそうとする試みだ。

 電力を独占的に供給しているインドネシア電力公社(PLN)がジャワやバリに供給できる発電能力は約2050万キロワットであるのに対し、ピーク消費電力は約1700万キロワットで、停電を起こさないために4割が必要とされる予備率は半分の2割にとどまっている。

 とくに今年の電力消費の伸び率は政府計画の1・9%を大きく上回り、5月時点で6・2%を記録するなど需要が拡大。半面、供給は石油や石炭価格が上昇したため、燃料が十分に調達できず火力発電所の運転に支障を来している。

 燃料高により小売り電力は逆ざやとなり、62兆ルピア(約6200億円)の政府補助金を受けているPLNの今年度損失は26兆ルピアに達する見通しだ。PLNは補助金増額要請や電力料金値上げの検討に入った。

 非営利組織、アジア・ファウンデーションの調査では、とくにジャワやバリ以外の地域では停電の頻度が週5回に達している。1万2000社の進出企業のうち63%が、多額の費用がかかる自家発電設備が欠かせないと回答したという。

 事態を憂慮した日本大使館は、約400社の日本企業の声を代弁する形でインドネシア政府に改善を要請。これに続き現地メディアが7月中旬、電力不足が改善しなければ、多くの日本メーカーが中国などに移転する見通しだと報じたことで、政府も危機感を募らせている。PLNは日本企業などを対象に電力不足問題で異例の説明会を開催。今後の能力増強計画を説明して理解を求めた。

 発電所や送電線は1997〜98年のアジア通貨危機で建設が一時凍結された影響で慢性的な不足が続いている。PLNは2010年までに火力発電の能力を1000万キロワット増強するのに続き、12年までにさらに1000万キロワットを追加したい考えだが、計画は遅れている。

 インドネシアは7月に日本との経済連携協定(EPA)が発効したばかりで、2国間投資の拡大などが期待されているが、電力不足問題が日本企業進出の足かせになりかねない情勢だ。

 インドネシア経済に詳しい日本貿易振興機構(JETRO)の朝倉啓介氏は「インドネシアは個人消費が回復し、大市場としての期待が高まるため、進出企業が能力増強投資を拡大しようとする流れにある。こうした中で電力不足問題がどう影響するか、推移を見守りたい」と話した。

最終更新:8月14日8時26分

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