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プーチン親衛隊に異変! 薄まる政治色

8月14日18時42分配信 産経新聞


 ロシアのプーチン前大統領を崇拝し、反政権派の駆逐を目的としてきた官製青少年団体「ナーシ」(「我らの」の意)に異変が起きていた。西部トベリ州のセリゲル湖で先月行われたサマー・キャンプの参加者は大幅に減少し、政治色も薄まりつつあった。メドベージェフ大統領への権力継承が無事終わって政権転覆の恐れが遠ざかった今、指導部は10万人もの動員力を誇った青少年団体の緩やかな解体に動いているようだ。(モスクワ 遠藤良介)

■経済教育?
 湖畔に並ぶ1000以上のテントで、10〜20歳代の中核メンバーら4000人が先月中旬、2週間の集団生活を送った。今年で4回目。軍事教練を彷彿させる朝の集会やマラソンは残っていたが、昨年、至る所で見られたプーチン氏の肖像写真は皆無に近く、メドベージェフ氏のものは全く目につかなかった。反政権派の集会予定場所を先回りして占拠したり、その集会を「せん滅」する訓練も見られなかった。参加者は昨年の1万人から激減した。

 参加者たちは、「国家近代化」「ロシア正教(の振興)」「慈善活動」「建築」といったプロジェクトごとに分割され、テントで御用学者や専門家の講義を聞いていた。キャンプ場内では「タラント」と呼ばれる独自通貨を使用し、模擬市場での取引を学ぶ企画もあった。

 幹部のボグダンツェフ政治委員(23)は、「プーチン氏が2020年までの国家発展計画で示した通り、今のロシアに必要なのは国家経済の近代化だ。われわれは多くの街頭政治のプロを生んできたが、重点は徐々に“室内政治”に移りつつある。キャンプでは企業とも協力しての学習プログラムに力を入れている」と説明する。

■街頭政治
 ナーシは05年4月、反政権派の街頭デモへの対抗勢力として、大統領府の肝いりで設立された。隣国のグルジアで「バラ革命」(03年)、ウクライナで「オレンジ革命」(04年)と街頭行動を背景とした政権転覆劇が相次ぎ、プーチン前政権が強烈な危機感を覚えたためだ。同団体は政権に近い企業から潤沢な資金供給を受けて若者を大量動員、各地で政権の意を受けた官製デモを組織してきたほか、関係が悪化した英国やエストニアの大使らに暴力的な尾行やピケを繰り返した。

 しかし、昨年12月の下院選と今年3月の大統領選が終わり流れは変わった。政権側から湯水のようにつぎ込まれていた資金は滞り、街頭行動での動員力も落ち込んだ。プーチン前政権下の言論統制や弾圧で反政権派が風前のともしびと化し、近い将来、「革命」などは到底考えにくくなったことが背景にある。

 団体の指導者、ボロビコフ氏は、「政権がわれわれへの関心を失ったことはない。若者はカネが欲しいのではなく、具体的に何かに取り組みたくて参加しているのだ」と苛立ちを隠さずに反論する。

■落日
 政権は、カネで飼い慣らした若者らを一気にうち捨てれば、彼らが暴走する危険があることも理解している。徴兵前の準備教育を名目にした軍事部門「我らの軍隊」や愛国・街頭行動を担う部門「鋼鉄」は、形をとどめていた。ボグダンツェフ氏は「街頭行動の選択肢は決して捨ててはならない」と語った。キャンプにはシュワロフ第1副首相やチュロフ中央選管委員長らが激励と講演に訪れた。

 それでも、構成員の一人は、「残るプロジェクトもあれば、残らないものもあるだろう。いわば各分野が“独立採算制”をとることで生き残る道を探っている」と打ち明けた。

 リベラル政党「ヤブロコ」青年部門のヤシン代表は、「『革命』を阻止する役割を終え、ナーシは政権にとって無用の長物、高くつくおもちゃと化した。予算は数分の1に減り、活動地域も狭まっている。彼らはぶち切られた予算で何ができるのかを考えているのだろう。だが、現在のような(社会活動に重点を置く)形であっても、長く存続するのは困難に違いない」とみている。

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最終更新:8月14日18時52分

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