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[WSJ] App Storeの成功語るジョブズ氏、iPhoneの“キルスイッチ”も認める

1日の売上高は平均100万ドルというApp Storeの好調ぶりをジョブズ氏が明らかに。iPhoneから望ましくないソフトを削除できる「キルスイッチ」の存在も認めた。
2008年08月12日 10時57分 更新

カリフォルニア州クパティーノ(ウォール・ストリート・ジャーナル)

 携帯電話ソフトに賭けた米Appleの作戦はうまくいっているようだ。

 AppleがオンラインソフトショップApp Storeを開設してから1カ月で、ユーザーは6000万本を超えるプログラムをiPhoneにダウンロードしたとスティーブ・ジョブズCEOはApple本社でのインタビューで語った。App Storeのアプリケーションのほとんどは無料だが、1日の売上高は平均100万ドル、1カ月で約3000万ドルだと同氏は言う。

 販売ペースがこのままなら、AppleはApp Storeで年間3億6000万ドル以上の新たな収入を得ることになると同氏は語る。「すぐに5億ドルにも達するだろう」と同氏は付け加えた。「何とも言えないが、いつかの時点で10億ドル市場になるかもしれない」

 「これまでのわたしのソフトウェアのキャリアで、こんなことはなかった」(同氏)

 Appleにはこれまで、幾つかのつまづきもあった。その理由の1つは、同社がiPhone向けソフト配信の仲介業者として、自らを強力な立場に置いていることにある。例えば、一部のソフト開発者は、自分たちのプログラムが説明もなくApp Storeから削除されたことでAppleに不満を持っている。一部のiPhoneユーザーも、iPhoneソフトの技術的な問題について苦情を訴えている。ソフト作成者は頻繁にパッチを発行して、問題を修正しようとしている。

 Appleがこの事業から直接多額の利益を得ることはないだろうとジョブズ氏は認めている。同社が得るのはアプリケーションの売上高のわずか30%――クレジットカード処理や、その他運営コストをまかなうのにほぼ十分な額――で、プログラムの作者が70%を受け取る。

 その代わり、iTunes Storeでの音楽販売がiPodの魅力を高めたように、アプリケーションがiPhoneとiPod touchの売り上げを増やし、訴求力を高めるはずだとジョブズ氏は確信している。

 「携帯電話の差別化要因は、かつては無線やアンテナなどだった」とジョブズ氏。「これからの携帯電話はソフトによって差別化を図ると思う」

 米Microsoftや米Googleなどの競合企業も同様の考えだ。両社は独自の携帯電話向けソフトウェアプラットフォームを普及させようとしている。市場調査会社Envisioneering Groupのアナリスト、リチャード・ドハティ氏は、Appleはライバルのすきを突いたと語る。「ライバルたちはAppleに開発者を奪われた」

 またソフト開発者は、自分たちのiPhoneアプリケーションの人気ぶりに驚いたと話している。ビデオゲーム会社セガは、iPhoneを傾けて迷路の中で玉を転がす9.99ドルのゲーム「Super Monkeyball」を20日間で30万本以上販売したという。「かなりの売れ行きだ」とセガ米国法人のサイモン・ジェフリー社長は言う。「iPhoneがゲームプラットフォームとして有力だという十分に主張できる」

 そのほか人気があるのは、医師用の電子リファレンスガイドを手掛ける米EpocratesのiPhone向け無料薬品事典だ。12万5000人以上がダウンロードし、うち医師は2万5000人だったと、同社のマーケティング担当副社長ミシェル・スナイダー氏は語る。これに対し、ほかの携帯機器を使っている同社のユーザーはこれまでで約50万人に上る。

 ジョブズ氏は、最初の1カ月で、開発者はiPhoneアプリケーションの販売により約2100万ドルを得たと話す。うち上位10社が稼いだ金額は約900万ドルに上る。

 だが一部には、App Storeで販売されるソフトに課せられる制限事項に抵触する開発者もいる。Appleは最近、赤い宝石を表示するだけの999.99ドルのアプリケーション「I Am Rich」を削除した。作者のアーミン・ハインリッヒ氏は、Appleのルールに従っていたと思うと話している。Appleの広報担当者は、同社はI Am Richを削除すると「主観的に判断した」と語った。

 また独立系の技術者がiPhone内で発見したコードをめぐり、Appleはプライバシーやセキュリティの専門家の怒りを買った。このコードは、理論上iPhoneから望ましくないソフトを削除させられるAppleのサイトを、iPhoneが定期的にチェックしていることを示唆している。

 ジョブズ氏はこのような機能が存在することを認めたが、この機能は、誤ってApp Storeで不正なプログラム――ユーザーの個人情報を盗むプログラムなど――の販売を認めてしまった場合に必要だと主張した。「このレバーを引かずに済むよう願っているが、このような仕組みを設けないのは無責任だ」

 同氏は、iPhone 3Gの最新の販売台数を明らかにすることは控えた。同製品は先月、399ドルの旧モデルの半額で発売された。

[Nick Wingfield,The Wall Street Journal]


この記事はダウ・ジョーンズとの契約の下でアイティメディアが翻訳したものです。翻訳責任はアイティメディアにあります。

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