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【成りすましスパイ事件】巧妙な背乗り 30年発覚せず (1/2ページ)
黒羽一郎さんが背広で「山に出掛けてくる」と言い残し姿を消してから約30年。内偵捜査を経て平成9年にロシア人の男が国際手配されるまで、巧妙な背乗りスパイは発覚しなかった。ロシアは旧KGB(国家保安委員会)出身のプーチン政権以降、諜報活動を強化しており、日本の警察当局は警戒を続けている。
男が展開していた諜報活動は小説や映画さながらの内容だった。公安部は9年の家宅捜索で男の自宅から乱数表や高性能短波ラジオなどを押収。男はこのラジオを使いモールス信号で流れる5けたの数字を受信し、乱数表で文章に置き換え指示を受けていた。入手した情報はマイクロフィルム化して清涼飲料水の空き缶に入れ、神社や公園などに置き、ロシア側の別の人間が回収する「デッド・ドロップ・コンタクト」と呼ばれる手口で受け渡す念の入れようだった。
男の海外出張中には、在日ロシア大使館の1等書記官が妻の動向を監視するなど活動をサポートしていた。書記官は公安部が事情聴取を要請した直後の9年7月に出国している。