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豊川海軍工しょう跡 機銃生産は東洋一と呼ばれた官営軍需工場。1945年8月7日の空襲により壊滅

所在地:愛知県豊川市穂ノ原他
アクセス:名鉄豊川線諏訪町駅下車、徒歩20分
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豊川海軍工しょうは、1939(昭和14)年11月18日付『官報』第3862号の勅令によりその設置が決定した。愛知県豊川市本野が原約59万4400坪(約200ヘクタール)を買収して機銃部、火工部を建設、予定通り1939年12月15日開しょうした。当時の従業員は約1500名であった。その後拡張をかさね、1943年には約90万坪の敷地に工員約5万6000名を擁する工場となった。
 工しょうの特徴としては次のような点を挙げることができる。一つ目には、当時の官営軍需工場として規模が極めて大きく、海軍の使用する機銃及び弾薬の生産では、約70パーセントを占めていた。
 二つ目には、空襲による被害が、甚大であったことである。敗戦間際の1945年8月7日の空襲は、米軍の爆撃機B29-124機によってわずか26分間の爆撃によって、250キロ爆弾3256発が投下され、ほぼ壊滅した。このため学徒動員された生徒を含む2700人近い方が犠牲になった。避難勧告は、低学年学徒や女性は、総員退避5分前に避難する手順であったが、当日は大混乱の中で避難勧告が出ず、犠牲者を出したといわれる。軍は、遺体を遺族に返還せず、腐敗を防ぐために第二工員養成所(豊川市新道町)の林に約1200体と山手試射場の東方山林(豊川市千両町数谷原)に約1300体が仮埋葬された。戦後1951年にようやく遺体は掘り返されたが、すでに身元を確かめることは困難な状態であり、二重の悲劇を生んだ。工しょう職員については直後に火葬され、遺骨も遺族のもとに戻されていることと著しい差である。
 工しょうの敷地周囲に巡らされた堀は、今日でもそのまま排水路として利用されている。当時の正門は、日本車輛の正門として健在である。また、日本車輛への引込線は当時からのもので、川にかかる鉄橋は、1941(昭和16)年の製造である(※1)。豊川市役所の前庭や門、自衛隊駐屯地内の建物にも当時のものが残っている。敷地の北西部に所在する名古屋大学太陽地球環境研究所は、当時の火工部だったところで、四周の土塁と共に薬筒乾燥場(※2)、(※3)、爆薬置場、第三信管置場、火薬乾燥場、料薬乾燥場、第一窒化鉛乾燥場、第二窒化鉛乾燥場、第一窒化鉛造粒場、第二窒化鉛造粒場、第三窒化鉛製造場が残る。第一火薬庫、第二火薬庫(※4)、第三火薬庫も原形のままである。こうした施設は、火薬製造から貯蔵に至るまで機能的に配置されており、当時の製造工程を知ることができる。このほか、街路灯、道路、並木、露天式防空壕などがある。空襲の跡として爆弾破裂穴、被弾を受けた原料置場、爆風により倒れた街路灯がある。
「豊川海軍工しょう跡地保存をすすめる会」により、毎年8月7日と冬季に見学会が行われているので利用するとよい。(伊藤厚史)
※1 橋梁側面に昭和16年製造の銘板がはめられている ※2 薬筒乾燥場入口 ※3 鉄筋コンクリート平屋造 ※4 入口前には製品の搬入出がしやすいように木製台がつけられている
※1 橋梁側面に昭和16年製造の銘板がはめられている ※2 薬筒乾燥場入口 ※3 鉄筋コンクリート平屋造 ※4 入口前には製品の搬入出がしやすいように木製台がつけられている
[参考文献]近藤恒次『学徒動員と豊川海軍工しょう』豊橋文化協会、1977年/『豊川海軍工しょうの記録』八七会、1995年/『歴史群像附録戦争遺跡ガイドブック』学習研究社、2003年
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