隠し頁へようこそ。
ちょっとしたお遊び感覚で作ってみました。
予告なくそのうち消えます。
ここには管理人が十代の頃に書いた下手くそな小説をこっそり載せています。
とんでもなく下手です。ついでに二次創作です。
オン友にプレゼントしたものも混じっていますので持ち出しは駄目です。
半年以上放置している二次創作サイトに来て下さる方がほぼゼロになって寂しいので、気に入ってるのだけ持って来ました。
ちなみにミスフルの犬芭は私の原点です。犬飼と芭唐のカップリングが大好きです。
犬芭に出会わなければ「蒼き鷹」も書いていませんでした。
サイトを見たと出版社から電話もらって調子に乗っていそいそと蒼き鷹の原稿を郵送し、原稿持ったままどろんシカト決め込まれる事もありませんでした(爆笑
駄目なら駄目でせめて返事をください。蒼き鷹の原稿送れと言ったのはそっちです(涙
笑ってやるよ、という奇特な方はスクロースどうぞ。
『凍えた夜』
月。
赤い月。
星のない夜につきだけが不気味に赤く輝いている。
穢れた空気の生でそう見えるだけ、なのかも知れない。
赤く輝く、不気味で妖しく美しい月。
なにかに似ているようだと犬飼は思った。
妖しい美しさを持つ何かに。
「風流だねぇ。」
そこで犬飼の思考は途絶えた。
こえのしたほうにちらと目をやると、寝巻き姿の御柳がいた。
「お前でも、月見て感動なんてすんのかよ?」
芭気にしているような言葉。
御柳は犬飼のいる窓に近づく。
静かに外気が彼の洗い立ての髪に触れる。
ただでさえ白い肌は月明かりのせいでよけいに白く、妖しく映った。
「なぁ、犬飼。オレと賭けしねぇ?」
その言葉に彼のほうを振り返ると、薄く笑った顔がうつった。
妖しい魅力。
「か、け?」
「そ。オレを満足させられたらお前の勝ち。できなかったら俺の勝ち。どう?やらねぇ。」
不適に笑うとボタンをひとつずつはずす。
赤い月が白い肌を照らした。
吸い込まれるように犬飼は首筋に下を這わせた。
「お前じゃ絶対オレを満足させられねえよ。」
「言ってろよ。」
「んっ、ふ。」
徐々に下へとキスを落としていき、やがて長い指が御柳のソレへと絡められていく。
いつからだろう。
この赤く妖しく輝く月のような男にココロもカラダも支配されるようになったのは。
初めは無理矢理だった。
でも今となってはそれも向こうに誘われ、遊ばれただけなのかもしれない。
そして、今も。
夜はまだ終わらない。
「んっ、ゃっ...はぁっ。」
廃工場からせつなげな声が漏れる。
逃げようとする腰を捕らえ、最奥まで一気に貫いた。
奥を突くたびに己が獣と化していく。
余裕のない表情で貫いている相手を見ると、微かに口元に微笑を浮かべている。
いつも見せてくる挑発的な笑みで。
『憎しみという名の感情』
「お前さぁ、そんなにオレが憎いんだったら壊してみろよ。」
言い出したのは奴のほうだった。
「もしかしたらヤってる最中に頚動脈掻っ切れるかもよ?」
挑発的な笑みで。
まんまと奴の仕掛けた罠に囚われてしまった。
殺してやる
殺シテヤル
コロシテヤル
ちゅく。ぴちゃ。
濡れた水音。
「っふ。」
敏感なところを舐めあげられると犬飼は限界を感じた。
絶頂が近いと知ると、御柳は犬飼のソレを思い切り吸い上げた。
「__っ。」
どくどくと欲望を御柳の口の中に吐き出す。
口の中に放たれたものを飲み干すと御柳はやけに妖濃な表情を浮かべた。
「お前イクのはやすぎ。それにすげぇ濃い。自分でしてねぇの?たまにはヌこうぜ〜、冥ちゃ
ん。」
「うるさい...。」
「ひゃああ!」
ほとんど慣らしもしないまま御柳の秘部に己を突き立てた。
慣らしていないわりにソコはすんなりと犬飼を受け入れた。
あざ笑うかのように犬飼は言った。
「お前こそ男漁ってんじゃねぇのか。」
今度はこちらが見下してやる番だ。
御柳は何も答えない。
さらに追い討ちをかけてやる。
「もうココずくずくだぜ。何人咥え込んだんだ?」
「んなのどうだってい...あぅ!」
奥を貫き御柳のソレを握り締めた。
脳天まで快楽に支配される。
「華部の4番スラッガーがいい格好だな。」
あざけるように。
「今のてめぇよか、はぁっ...よっぽどマシじゃね?」
御柳が口の端を吊り上げた。
絶頂が近いらしく声に余裕がない。
犬飼の中で何かどろどろとしたどす黒い感情が沸き起こる。
「だまれ。」
言った瞬間今までよりもかなり激しくナカを掻きまわした。
「__った...ひっ、あぁぁ!」
御柳の体が弓なりにのけぞり、欲望を吐き出した。
荒い呼吸をする御柳を見下ろしその唇をふさぐ。
かすかな鉄の匂いが鼻をついた。
どうやらナカが切れて血が出たようだ。
でもそんなこと、関係ない。
腰を動かしさらに責めたててやる。
「あっ、んっ。」
憎いんだろう?
このオレが。
だったらそいつに縛られてしまえ。
身動きができないほどに。
憎しみという名の感情に囚われて。
オレだけを見ていろ。
「めい...。」
不意に下の名前で呼ばれた。
幼いころのように。
御柳の犬飼のシャツを握る手に力がこもる。
少し、やりすぎたか。
犬飼は罪悪感を覚えたが、御柳の表情を見た瞬間、ゾクリとした。
笑っている。
今までみたこともないほど妖濃に。
萎えようとしていた加虐性が頭を持ち上げてくるのと同時に、蜘蛛の糸にでも捕われたような
感覚におちいった。
『偽リノ祈リ』
「お前ってさぁ、ほんっとヘタクソだよなぁ。」
古ぼけたホテルの個室。
じめじめとしたかび臭い部屋。
ラブホテルとは言いがたい場所で行為はなされていた。
「オレは暇じゃねぇんだ。てめぇと違ってな。」
銀髪の男犬飼冥は行為の相手の白い首筋に歯をたてた。
ククッと行為の相手御柳芭唐は笑った。
嫌な笑みだ。
「オレとお前とじゃ格がちげーんだよ、負け犬。」
「...うるせぇ。」
自らの口で相手の口をふさぐ。
水音とともにどちらのものとも区別のつかない唾液が顎を伝う。
犬飼の唇はしだいに下へと伝ってゆき、その白い肌へ新たな痕をつけてやる。
御柳の肌にはいくつもの赤い痕と縛られた痕がついている。
どちらも犬飼がつけたものではなかった。
どこかで男でも引っ掛けたのだろう。
だが、そんなことはどうでもよかった。
「全然感じねぇ。んなやり方じゃ女のコに逃げられるぜ〜?」
余計なお世話だ、心の中でぼやきながら。
犬飼は御柳の下腹部に手をのばした。
愛サナイママ愛ヲワケアオウ
狂ッタ夜ガイトオシイ
存分に慣らしたソコはたやすく犬飼を受け入れた。
「はあっ...。」
御柳がせつなげに息をもらした。
上気した顔が欲望をさらに掻き立てる。
「御柳...」
乱れる身体。
徐々に理性を失い獣になってゆく。
溺れる。
悦楽と狂気を含んだこの饗宴に。
快楽と苦痛と喜びと憎悪。
鮮やかに心に刻み込まれて。
欲情絡ミノ刺激ヲ弄ブ
汚レタ夜ニ乱レヨウ...
「御柳、お前なんて大嫌いだ。だけど、お前のココロもカラダもオレは欲しい。」
御柳が口元に挑発的な笑みを浮かべた。
「できねぇくせに。」
「できるさ。お前のココロもカラダも全部オレのもんだ。」
「...なってやってもいいゼ?お前のもんに。もしもオレに勝てたら、な。」
そんな日は永遠に来ない。
御柳はそう不敵に笑った。
追っても追っても。
彼はそれ以上に逃げてしまう。
けれどいつか追いついて自分のものにしてやる。
そのココロもカラダも。
逃げようとする羽があるのなら、
もぎ取ってしまえばいい。
ココロもカラダも鎖で縛り付けて、
鍵をかけて閉じ込めてやる。
オレ以外その瞳にうつすな。
こんなにも焦がれてきたのだから。
これでお前はオレだけのもの___
『独裁−despotism−』
廃病院の中。
歩くたびに廊下がきしむ。
誇りの積もった廊下を進み、病室のドアを開けた。
そこは日当たりがよく明るかった。
ほこりの舞う病室の中を見渡すと、一人の少年がベッドに寝かされているのが分かった。
両手に鎖をまかれベッドに固定されている。
ほとんど裸に近い少年に近づく。
「よぉ。気分はどうだ。」
ベッド脇のカーテンを押しのけ話し掛ける。
「犬飼、てめぇ。こんなマネしてただで済むと思うなよ。」
細い眉を寄せ睨みつけた。
犬飼はのどの奥を鳴らす。
「ただで済まない、ね。その状態で何ができるってんだ?御柳。」
御柳は何も答えずさらにきつく犬飼を睨みつけた。
ここに監禁されてもう何日目になるのだろう。
幾度となく夜が来て、朝が来た。
毎日飽きもせず犬飼はここで御柳を犯す。
たっぷりと時間をかけていたぶりながら。
「そう睨むなよ。今日はイイもん持ってきてやったぜ。」
瞳に残虐な色をちらつかせ、錠剤を取り出した。
「まさか、ソレ...。」
「感謝しろよ。手に入れるの苦労したんだからな。」
「ふざけんな!やめっ...、ん!!」
無理矢理口の中に錠剤を押し込まれた。
指を突っ込まれのどの奥に押しやられる。
「かっ、げほっ!」
犬飼が御柳に飲ませた薬は即効性の強力なもの。
薬が体に回ると同時に、触れられてもいない御柳自身が熱くなってきた。
「いぬ...か...。」
うつろな瞳。
生意気で傲慢な彼が乱れ泣き叫ぶ様子を見るのはこの上もない快感だった。
犬飼は御柳のソレに触れると心底楽しそうに言った。
「コレ、どうして欲しい?」
「はな...っせよ!」
「ヤッてる時はどんな風に話せっつったけ?」
犬飼がさらに口の端を吊り上げる。
「お仕置きが必要、だな。」
「え?」
犬飼はバイブレーターを取り出すと御柳の秘部につきたてた。
「やっ、やだ!」
頭では拒絶しても薬に侵された体は感じてしまう。
細い眉を寄せ顔を羞恥にゆがめる。
バイブをいやらしくくわえ込み、押し寄せる快楽の波に支配されて。
そんな彼を見ているだけで犬飼は頂点に達してしまいそうにすらなった。
もっとこいつの泣き叫ぶ顔が見たい。
犬飼はバイブが入ったままの秘部に己自身をあてがった。
「ちょっ!まだナカに入っ...あぁぁあ!」
御柳の体が弓なりにのけぞる。
狭いソコに犬飼が無理矢理侵入してくる。
何も考えられない。
強制的に与えられる激痛と強い快楽に御柳は絶頂をむかえた。
意識が飛びかけたがそれすら許されない。
「う…。」
「寝るんじゃねぇよ。まだオレがイッないだろ。」
「犬飼…。もう、やめ…て。」
体の奥が火傷をしたみたいに熱くて痛い。
感覚がなくなっていくほどに敏感な部分に意識が集中してしまう。
痛みと快楽に半分失神しかけている御柳に犬飼は残酷に告げた。
「お前はオレだけのものなんだ。オレだけを見ていろ。」
犬飼が萎えかけた御柳のソレを握ると再び熱を持ち始めたのが分かった。
もう、許してよ...
夕日が沈んで朝がきても、この行為はきっと終わらない。
死ぬまでここでこうやって飼われるのだろうか。
犬飼だけを喜ばすペットとして。
脳が麻痺しかけている。
沈み込む意識の中で犬飼が欲望をナカに吐き出したのが分かった。
「ばから...」
犬飼はそっと気絶した御柳の髪に触れた。
血と汗と精液とでベタベタになった体。
ずっと手に入れたかった彼と、今こうしているのが楽しい。
唇に触れるだけの優しいキスを落とし囁く。
「一生ここで可愛がってやるよ。死ぬまで、な。」
生かすも殺すも思いのまま。
『エピクロス』
「お前別の男のこと考えてるだろ。」
手の動きを止め帥仙は言った。
「アー、そう見えます?」
けだるそうに芭唐が答える。
実際に芭唐は別の男のことを考えていた。
その男のことを忘れるためにこんなことをしているというのに。
だれかと体を繋ぐことで忘れるどころか執着してしまう。
もう昔のことだというのに。
早く忘れてしまいたいのに。
「余裕、だな。」
帥仙の目に残酷な色が走った。
「アンタ、オレになんかする気でしょ。」
帥仙とはなんども寝ているから分かる。
この人は普通のセックスなんてしない。
壊れるほど激しく責め立てる。
だからこそ芭唐はセックスパートナーに帥仙を選んだのだ。
何も考えられないほど激しく犯されたら、忘れられると思ったのだ。
その場限りは。
忘れたいんだ
アイツの顔も体も
思い出さえも
「ねぇ帥仙さん。」
「何だよ。」
「アンタとオレってさ、なんとなく似てる気がする。」
「きしょいこと言ってんじゃねぇよ。」
冷たく睨む片目に芭唐は少しだけ微笑んだ。
なんとなく分かる。
この人も誰かを、何かを忘れたいんだ。
だからこんなに酷いセックスを強要する。
お互いに似たものどうし。
決して交わることのないココロ。
カラダだけを快楽だけを欲し、獣のように貪り合う。
「スキでもない相手とセックスして楽しい?」
「...その言葉そっくりそのままお前に返してやる。」
何の感情も映さない瞳で。
ああ、オレ達は、傷つけ合うから動けないんだ___
はじめはただ純粋な憧れだったんだ。
自分にはないものを持っているそいつがただ羨ましくて。
力強くたっているその姿が。
『永遠の記憶』
第一話
屑桐と初めて出会ったのは入部試験のときだった。
顔半分を包帯で隠し、がっしりとした体つき。
目立ったのはその外見だけではなかった。
力強く全てを飲み込むような剛球。
誰もこの男には届かない。
直感がそういっていた。
屑桐は現エースを引き摺り下ろし、自信がその座についた。
帥仙はそのとき二軍にすら入れなかった。
所詮帥仙は井の中の蛙でしかなかったのだ。
氷の中の炎のような、強い感情がはじけたのが分かった。
気づくといつの間にか屑桐のことを眼で追っていた。
同じ高一なのに。
中学では同じエースだったのに。
ここまで差があるなんて。
いつの間にか帥仙は部の中で浮いた存在になっていた。
屑桐に負けたくない、弱いと思われたくない。
その気持ちが知らず知らずのうちに表面に表れてしまっていた。
生意気な態度を取り、無表情、無愛想、無口を通していた。
自信の大きさはコンプレックスの裏返しでしかなかった。
ただ自身のプライドを守りたかった。
部内での評判は悪くなる一方。
ただ屑桐だけはそんな帥仙を心配していた。
帥仙の焦がされるような視線に気づいていたから。
屑桐は事あるごとに帥仙を庇おうとした。
だが帥仙にとってそれは煩わしい事でしかなかった。
いつしか羨望と憧れは嫉妬へと変わり、憎悪というドロドロとした感情に支配されるようになった。
事あるごとに屑桐と比較されるのが嫌だった。
屑桐のことも見たくはなかった。
見たくはないのに忌まわしいこの眼が追いかけてしまう。
こんな眼いらないのに。
いつものように自主練を終え部室へと向かう帥仙。
ドアの前で足が止まった。
中から先輩たちの声が聞こえる。
同じピッチャーの先輩たちだ。
「帥仙のやつ生意気だよな。」
「たいしたピッチングもできないのに態度だけでかいんスよね〜。」
「同期の屑桐のがよっぽどすげぇのによ。」
「あいつ絶対ぇ才能ねぇよ。」
「いっそのこと野球部止めればいいと思いません?」
「ギャハハ!そしたらオレ明日からチョーハッピーなんだけど!」
帥仙がドアの前で微動だにしないでいると、いつからいたのか屑桐が後ろに立っていた。
「......帥仙。」
帥仙の肩がはねるが振り向きはしない。
「気にするな。あの先輩たちだってオレには敵わないんだから。」
ドン......。
屑桐の言葉に帥仙は屑桐を押しのけると駆け出した。
制服もかばんも部室に残したまま、ユニフォームのままで。
屑桐のあっけに取られた顔だけを残して。
帥仙は自宅に駆け込むと洗面所へと走った。
鏡にはよく知った自分の顔と、眼が、あの忌まわしい眼が映っていた。
「畜生!」
何という感情なのだろうこれは。
暗いドロドロとした汚泥のような。
この眼さえ、この眼さえなければ。
屑桐の顔なぞ見たくもない。
“オレには敵わない”
屑桐のその言葉だけが頭の中で反芻していた。
帥仙は手近に置いてあるカミソリを手にした。
コノ眼サエナケレバ
ゆっくりと片目まで持っていく。
コノ眼サエナケレバ
眼前に鈍く銀色が光り。
コノ眼サエナケレバ
銀色は変貌をとげる、赤色へと。
コノ眼サエ!
『第二話』
次の日医療用の眼帯をして来た帥仙を不思議に思った。
目に怪我でもしたのか。
そう思ったが、帥仙の様子も態度もいつもどおりだったので、
たいした怪我でもないのだろうと思っていた。
しかしいつまでたっても眼帯ははずされることはなかった。
日がたつにつれ屑桐はだんだんと気がかりになってきた。
「帥仙。」
廊下で偶然見つけた彼を呼び止める。
が、聞こえているのかいないのか。
帥仙はこちらを見ることすらしない。
今度は少しばかり走って帥仙の肩に手を掛けた。
「何?」
そっけないが返答が返ってきた。
「その目どうしたんだ。ひどい怪我でもしたのか。」
「別に。」
「帥仙っ。」
少しきつめに名前を呼ぶ。
とても小さな声で返答が返ってきた。
「...り...た。」
「え?」
「自分で抉り取った。で、それで。」
その言葉に屑桐は愕然とした。
まさか、まさか。
帥仙は鉄仮面をつけたように表情がない。
感情の色が、ない。
「離せよ。」
うっとうしそうに屑桐の手を払いのけた。
屑桐は去っていく帥仙の後姿を呆然と眺めていた。
なぜ帥仙がそのような行為をしたのか分からない。
もしかしたらただの嘘かも知れない。
けれど確実に分かることが一つだけある。
帥仙が眼帯をしだした日から、あんなにも焦がれた火傷しそうな視線を感じなくなった。
「帥仙さーん。まってくださいよーっ。」
墨蓮が先に部室を出た帥仙を追いかける。
その様子を屑桐は黙って眺めていた。
あれからずっと帥仙のことが気になっていた。
だが、どうしても気まずくて話しかけられない。
眼帯のことも心配だった。
あのときより彼の片目を見てはいない。
ずっと声を掛けられずに二年もの月日が流れてしまっていた。