「周産期救急患者搬送先、紹介します」(下)
神奈川県の周産期救急受入機関紹介システムがスムーズに機能した背景には、▽同県で救急医療中央情報センターが既に整備されていたこと▽基幹病院が中心になって周産期救急患者の受け入れ調整を行う「周産期救急医療システム」があったこと―がある。
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NICUの看護配置見直しを システムの中核を担う救急医療中央情報センターは、そもそもこの周産期救急患者受け入れ先紹介業務のために新設されたものではなく、1982年から徐々に整備されてきたものだった。
センターには、トレーニングを受けたオペレーターが24時間365日常駐。消防本部や医療機関などが、救急患者の搬送先紹介を同センターに依頼すると、オペレーターは患者の容体などの必要な情報を収集し、応需可能な病院をデータベースで検索。データベースでは、医療機関の病床の空き状況が毎日2回更新され、最新の情報が確認できるようになっており、オペレーターはデータベースを参考に医療機関へ応需の可否を問い合わせることができる。
一方、周産期救急医療システムは、周産期救急患者が発生した際、分娩施設が県内の基幹病院に搬送先案内を依頼し、基幹病院の産科医が受け入れ先を探すというもの。基幹病院を中核とするシステムが県内の周産期救急の現場では既に浸透していた。
そのため、06年7月、県産婦人科医師会が基幹病院の産科医の被る過重負担を指摘した際、県は「救急医療中央情報センターで基幹病院の産科医の行う斡旋業務をできないか」と検討。センターの救急医療搬送先紹介機能と周産期救急医療システムがマッチし、07年4月から試行運用、11月から正式運用するに至った。
水町氏によると、センターによる周産期救急患者搬送先紹介を開始するに当たっては、基幹病院からセンターに紹介を依頼する際の業務フローの確立や、周産期救急の知識向上のための研修などを行った。だが、既存のセンターの設備やトレーニングを受けたオペレーターを活用することができるため、新たに必要になった経費は、増員したオペレーター1人の給与以外、ほとんどなかったという。
(完)
「周産期救急患者搬送先、紹介します」(上)
更新:2008/08/14 14:26 キャリアブレイン
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