ナオキPの華と氷の中に、ぼくが思うニコマス最高の1カットがあります。

ここ。
なんて歪みない動画








まずは前段から。
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前段Aメロ。
MIDカメラがずっと続く。

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前段Bメロ。
Longで右から左へ一振り。


この2つが件のカットまでの導入部分ですが、
まずMIDカメラだけの素材を撮ると分かりますが、MIDカメラの連続は「溜める」カメラワークになります。
キャラの周りをゆっくりとぐるぐる、小さく動くという流れがそう思わせる。
そこから一度カメラを遠くに離して、大きく一振りさせる。

実に、全般が横の動きです。
キャラの動作も全体として縦よりは横に通じる動きが主体で、ぼくはここ見てると、ゆりかごに揺られているようだと感じます。

そのゆりかごの動きが、カメラの動きがほぼ止まった形になり、カメラの動き(右→左)とは逆に向く、一振りの首の動きの後に止まる。
その、大きく振った後にカメラを静止させるが如くの動きの流れが単品でもすごい切り取り方だと思うし、後の、あのカットの活かされ方を見てなおすげーんです。

この首の一振り!
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そこで主題の、冒頭のあの「なんてねじれた運命」です。
信じられないほど長い4秒。

カメラとしては蒼い鳥の最後の「生きて行けない」を逆再生で撮ったカット。
この伊織の表情は、とんでもなく魅力的な上に、全体の流れの中ですごく芯を持った一部分になってると思うんです。

さきほど、前段のカメラワークが横の動きを続けて、最後に首の一振りで止まると書きましたが、ここから変化が起きるわけです。
この曲における最大の変化は氷かもしれませんが、変化の予兆と、主題としての感情を最も雄弁に吐露する瞬間はこのカットでしょう。

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この逆再生の効果はすごい。
伊織の、やや後ろに引きながら、立ち止まり足踏みをするような動き。
そして背景の紙吹雪が、逆再生される事で上へ昇っていく。
この背景の紙吹雪は、全体を通して捉えなおすと、大変優れた予兆。
この動画、このカットで横の動きが止まり、完全に途絶えた後、縦へ、天へ動き出すんです。


完全に横の動きを殺して静止した後に
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手を天へ掲げるゆきぽっぽ
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この後の流れは言うまでも無い。
これがこうした流れを意識した計算なのか、口パクや表情のバランスをとっていった結果こうなってたのかはわかりませんか、
この動画のゆりかごのような横から、高みへ掲げられる縦を意識させる流れっていうのは、氷のモチーフ以上にとんでもないとぼくは思うんです。

そしてこのカット、表情そのものがとんでもねーいおりんだというのも確定的に明らか。

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「運命」の時の表情。
よくこのタイミングでこの表情を当てたもんだと。
自他を人生を比べた時の「含む」感覚を吐露する「なんてねじれた運命」という一語を、この表情で包み込んでる。すげえと思った。

この一語って、曲の中ですげえ重要な部分だと思うんですよ。
それまでは客観的状況をつらつらと述べているわけで、そうした状況、運命を概観した後に出る、初めて自分の思いを表す主観的な言葉が(感覚としては大きなため息をひとつついた後にふっと出るような)"What twist of destiny"なんです。

その単語を吐く時、眉を大きく曲げ、悲しげな表情を見せるいおりん。
女優過ぎるぜjk…と思わざるを得ない。



もうひとつすごい点。
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心からの思いを一言押し出した後の、このまばたき。
そして、眼を開けた時の目線。
どうですよ、これ。
えれえですよ、これ。

横の動きでぐるんぐるんさせられた後に、ひたと動きがとまって、んん?と思わせたところでこの一言。そして表情、目線。
やられないわけがない。
流石に成分未調整ではないものの、ほとんど素のままのカットでこれだけの要素を掘り起こせるっつーすばらしさ。
そんなわけでぼくはこの4秒をニコマス最高のカットだと思っているんです。