アーバンコーポレイションが神戸市内で開発を進めていたホテルの建設現場。建築機材が引き揚げられ、工事が滞っていた=7月18日、神戸市中央区
全国で不動産開発やマンション分譲を手がけるアーバンコーポレイション(東証1部、広島市)は13日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。負債総額は2558億円で今年最大規模。米国の低所得者向け(サブプライム)住宅ローン問題の影響で不動産市況が悪化、資金繰りに行き詰まった。
東京証券取引所は同社株式を14日から整理銘柄に割り当て、9月14日付で上場廃止にすることを決めた。民間の信用調査会社、帝国データバンクによると、上場企業で負債総額1千億円以上の倒産は、03年10月に民事再生法の適用を申請した中堅ゼネコン、森本組(大証1部)以来。
アーバンコーポは、東京や大阪など都心部で再開発プロジェクトを進めており、開発した土地や建物を国内外の投資ファンドに売却する不動産流動化事業が主力。08年3月期まで9期連続で過去最高益を更新していた。
開発の資金は、金融機関が将来の賃料収入や売却代金を評価して貸し出す「ノンリコースローン」(非遡及(そきゅう)型融資)を活用。事業ごとに特別目的会社(SPC)を設立して融資を受け、開発物件の転売と資金調達を繰り返しながら収益拡大を図ってきた。
だが、サブプライム問題の影響で投資ファンドにマネーが集まらなくなり、国内金融機関も不動産向け融資に慎重になったことで経営環境が急激に変化。分譲マンションの販売不振も顕著となり、建築資材の高騰が追い打ちをかけた。
アーバンコーポは東京や大阪などで約100件のプロジェクトを開発中だが、「今後の見通しについてはまったく未定」(広報担当者)としている。(辻森尚仁)
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〈アーバンコーポレイション〉 分譲マンションの企画・販売を目的に90年、広島市で設立。02年3月に東京証券取引所1部に上場した。「アーバンテラス神宮前」(東京都渋谷区)、「ラ・ポルト心斎橋」(大阪市中央区)などの商業施設のほか、「アーバンビュー」などの名称でマンション開発を進めてきた。08年3月期の連結売上高は前期比35%増の2436億円、連結当期利益は311億円。