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経済コラム−視点
2008年8月13日

財政による内需主導型の景気拡大を急げ

 米連邦準備制度理事会(FRB)は五日の連邦公開市場委員会(FOMC)で主要政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を現行の2・0%に据え置くことを決めた。不動産不況に底入れの兆しが見えず、先行きになお景気悪化の懸念があることに加え、サブプライム(低所得者向け高金利型)ローン問題に端を発する金融不安が根深いためであろう。原油価格が若干、沈静化したことも一因である。

 しかし、バーナンキFRB議長は、「成長の下振れリスクが残る一方で、インフレの上振れリスクに深刻な懸念がある」とも述べている。実際、六月の消費者物価指数は前年同月比で5・0%上昇と、十七年ぶりの高い上昇率を記録した。現在のような超金融緩和政策が続けば、ドル安による輸入インフレを引き起こすとともに、ドル安そのものが原油高を招き、コストプッシュ・インフレの要因になるだろう。やはり、インフレに対しては強い警戒感が必要だ。

 さて、わが国では与謝野馨経済財政担当相が七日、八月の月例経済報告を関係閣僚会議に提出し、景気の基調判断を「景気回復は足踏み状態」から「景気はこのところ弱含んでいる」と下方修正し、事実上の景気後退宣言を行った。

 民間シンクタンクの予想では、二〇〇二年二月から始まった今次景気回復・拡大過程は、景気拡大の実感がないまま、昨年十−十二月期から今年一−三月期にかけて終焉したとの見方が強い。今次景気回復・拡大過程では、日銀の超金融緩和政策によるドル安で、輸出大企業のみが恩恵を被る輸出主導型景気回復の感が強く、それだけに、国民全体としては景気回復の実感がなかった。むしろ、“格差拡大”という言葉に象徴されるように、都市と地方、大企業と中小企業、高所得者層と低中所得者層との間の格差は拡大し、日本経済全体にゆがみが生じた。

 米国経済の先行きが思わしくなく、景気後退局面の長期化が予想される中、財政を使って国民経済全体に恩恵が行き渡るような内需主導型かつ産業構造転換型の景気回復を進めるべきだろう。

(ポン太)


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