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【コラム】

中日春秋

2008年8月13日

 「帰省」は俳句の夏の季語になる。夏休みに帰郷する人が多いからである。<船ほどの靴脱ぎ捨てて帰省の子 今城知子>。お盆休みと重なり、久しぶりににぎわいを取り戻している家庭もあろう

▼今年は帰省の足に変化がある。鉄道やバスの人気が高まっているのだ。もちろんガソリンの高騰を受け、マイカーよりも割安になるという計算がある。海外旅行をやめて古里へ。こんな選択をした人もいるらしい

▼みんな生活を守るために、知恵を絞っているのである。政府は今月の月例経済報告で景気が後退局面に入ったことを事実上認めたが、財布をのぞけばとうに分かっている

▼そもそも、二〇〇二年二月から戦後最長の景気の拡大が続いていたという話に実感がない。企業の業績が良くても、賃金など家計の拡大にお金が回ってこなかったためだろう。そこに急激な物価高。実感としては消費税率の引き上げに等しい

▼安心実現内閣を旗印にする福田政権は財政、税制などの政策手段を総動員して対応する決意だという。中小・零細企業への金融支援や、省エネ・新エネルギー技術の開発促進などが具体案として挙がっている

▼今起きていることが、一過性とは思えない。新しい国づくりをするくらいの覚悟がいるように感じる。家計の拡大につながる政策も出番の時ではないのか。ずっと我慢をしているのだから。

 

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