大竹市の阿多田島に25年ぶりに医師が常駐して1カ月余りになった。船と車を乗り継ぎ、市中心部に通院していた住民の労力や経済的負担は軽減。高齢者たちは、地域の診療体制が整った安心感は何ものにも替えがたいと喜んでいる。市が1000万円かけてリハビリ室やエックス線室を新設した阿多田診療所で、京都市の病院長だった林重三医師(64)が診察を始めたのは7月7日。1カ月間の受診者は延べ203人で、市の見込みのほぼ2倍だ。島の人口は約320人、高齢化率は35%である。
経済的問題もさることながら、自治会の本田幸男会長(66)は「ぐっすり眠れるようになったという人もいる」安心感が得られたことが大きいと説く。島外の病院へ急患を運ぶ自治会の救急船は林医師の着任以降、5回出航している。いずれも、まず林医師が応急処置し、混乱もなく搬送できたという。
【写真説明】診察を終え住民と談笑する林医師
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