「犬島貝塚調査保護プロジェクトチーム」(代表・遠部慎国立歴史民俗博物館研究員)は12日、同貝塚(岡山市犬島)の5日間にわたる発掘調査を終了した。その結果、保存状態は瀬戸内海の縄文遺跡の中で最高レベルだったことが判明した。 8日から始まった同調査は、貝塚の露出するがけの頂上部約10平方メートルで実施。第2貝塚を中心に南の第1貝塚に向かって掘り下げられた。 がけ面の急速な崩壊で保存状態が懸念されていた第2貝塚では、奥行き約4メートル以上、厚さ約40センチの貝層を確認。地中の貝層は、非常に良好な状態で残っていた。 詳細は不明だが、同チームは、貝塚全体にたい積する白色の土が保存を助けたのではないかと見ている。 第1貝塚との関連では、出土した貝や土器の種類から判断して、ほぼ同時代の9800年〜9600年前のものだが、地中でつながっていないため、両貝塚は個々に存在したことも分かった。 出土品は約300点に及び、主に縄文時代早期の山形押型文土器の破片が多かった。貝はほとんど汽水産のヤマトシジミで、同貝塚は海が流入する前にできたことが、改めて確認された。 遠部代表は「貝塚としてはあまりにも残りが良い。瀬戸内海を代表する縄文遺跡として、資料価値は極めて高い。今後は第1貝塚の本格的調査ができるよう努めていきたい」と話している。 今年の発掘は同日が最後で、今後は出土品の研究調査などを行っていくという。