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震源は米国の赤字拡大

2008年8月13日

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 グローバル経済の変調が鮮明になっている。米国では住宅市場の悪化が止まらず、個人消費も息切れ寸前だ。サブプライム関連損失も出続けている。欧州経済は減速中で、日本経済も昨年秋にピークを打った。世界のインフレ傾向は続いており、新興国では2けたインフレが経済を圧迫している。

 つい1年前まで「この世の春」を謳歌(おうか)していた世界経済は、なぜこのような多発的な傷みに直面しているのか。世界で噴出する諸問題は、独立した現象ではなく、地下茎でひとつにつながっている。そして、その根源には、拡大を続ける米国の対外赤字がある。

 米国の家計は、所得を超える消費を続けてきた。その結果、輸入は増加を続け、対外赤字は既往ピークを上回って拡大した。米国は、自らの赤字によって世界最大の需要者であり続け、グローバル経済の成長を支えてきた。

 米国の赤字持続を可能にしたのは、中国を中心とする諸外国の対米投資=ドル買いだった。彼らは、自国通貨の上昇を阻止し、輸出拡大による経済成長を続けるために、米国にお金を貸し続けた。その結果、米国では金融が緩和し、サブプライム貸し出しが増え、住宅バブルが生じ、景気を刺激した。それは、輸入増=赤字増を通じて、世界経済を実力以上の高成長に押し上げることとなった。

 そして今、住宅バブルははじけ、世界は不況と信用不安におびえている。一方で需要が増えすぎた原油・資源の価格が急騰し、経済成長を遂げた新興国では賃金上昇がインフレを押し上げている。結局、米国の赤字が十分に縮小するまで、この調整は続くだろう。それは、米国の不況や世界経済の停滞が長引くことを意味している。(山人)

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