沖縄県は日本の国土面積のわずか0・6%しかない。狭い土地に、日本に駐留する米軍の専用施設の約75%が集中する。
「もっと知りたい!本当の沖縄」(前泊博盛著、岩波ブックレット)を読むと、厳しい現実が分かる。嘉手納飛行場を抱える嘉手納町では、米軍基地が町面積の83%を占める。沖縄市は34・5%だ。
米軍基地の一極集中に沖縄の怒りが募る。県民は米軍基地が都市部の主要な土地を占拠し、経済発展を阻害していると訴える。陸上にある基地以外にも、沖縄周辺の二十九カ所の水域と二十カ所の空域が米軍の訓練区域とされ、民間機飛行や漁船の操業などを制限するという。
先の大戦で住民を巻き込んだ地上戦が行われた沖縄戦は、一九四五年六月二十三日に終わったとされる。日本軍が組織的抵抗をやめた日だが、軍代表が降伏文書に正式に調印したのは九月七日。八月十五日の終戦の日から二十日あまりも沖縄では戦争が続いていた。
「本当の沖縄」を読むと、多くを知らないことに気付く。文部科学省は、二〇一一年度から完全実施される小学社会科の新学習指導要領の解説書に「沖縄戦」を初めて盛り込んだが、戦争の実相を伝えることが大事だ。
子どもだけではない。大人も「もっと知りたい」との思いを強める必要があろう。