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そっくりもぐらさんとの協議の末、当板を終了/凍結する事にしました。ここはそっくりモグラさんが管理する掲示板であり、ワタシには止めろだの続行しろだの言う資格は基本的には有りませんが、そもそもこの掲示板の出生の経緯は、ワタシと大谷君の東京大学での講義(2004年〜2005年)を広く聴講者以外に知らしめる為に、毎回掲示板を使ってアップして良いか?というオファーをそっくりもぐらさんから頂戴し(その時がワタシとそっくりもぐらさんの初対面になります)、ワタシが許諾する事で始まった。という物ですので、運営に関するワタシの既得権が、多めに見積もって約50%はあると判断し(二人の間で、具体的にそんな無粋な話をした訳でもなんでもないのですが・笑)、両者の熟考そして合意を持って、この掲示板を終了/凍結そしてリニューアルさせて頂く事に決めました。という訳で、内容はほとんど被ると予想されますが、ワタシとそっくりモグラさんと2人で終了のご挨拶をさせて頂きます。
終了/凍結する理由は、在り来たりなネット社会的汚染とはいえ、とうとうテクニカルなレヴェルでは防止出来ない所まで来た。というのがきっかけではありますが、それはあくまできっかけに過ぎず、最も大きな理由は、掲示板が冠している名称に現されているこの掲示板の役割。が、そろそろ終わったとしても良い頃ではないか?という判断に基づきます。もし「まだ続けねばならない」という判断があったら、我々は汚染に対して違う策を取ったでしょう(ほんの一瞬、意地でも止めるか。といった時もあったのですが・笑・無理しない様にしました)。長らく漠然と、ワタシのファン板のようになっていましたし、最近から閲覧を始めた方などは、最初からそういう物だったと信じて疑わぬ方も多いと思われます。
立ち上げの頃からの閲覧者の方にならば、「役割が終わった」という感は共有して頂けると思いますし、立ち上げの頃をご存じない方でも、「東京大学のアルバート・アイラー」から「M/D」までをお読み頂いている方々ならば、「最初の提言には自らキッチリ片をつけた。そして一巡してスタートに戻った」事が、ご理解頂けるでしょう。濱瀬元彦先生の現場復帰、そして「ライブM/D」に於いて、濱瀬先生のパーカー分析が初めて公開で行われた事はそれを象徴していますし、今年の慶応大学に於ける、ワタシと大谷君の講義が「ジャズを扱ったものではない」事も、端的にそれを物語っていると言えます。
とはいえ、かの力道山もチンピラの特攻によって亡くなった訳でして、興奮したバカが身分不相応に「やってしまう」という現象は、21世紀のネット社会内でも健在の様で、精神の中に小さな狂犬を飼ったままで居る身としては嬉しい限りです(笑)。凍結のきっかけを作ったバカは、ワタシと後藤雅洋さんとでどこまでも探し出し、後藤さんの正道会館仕込みのゲンコツを喰らわせてベソをかかせ、ワタシがそれを撮影してU-TUBEにアップしますので、奴の仲間と言わず敵と言わず、情報をお持ちの方はワタシのファンメールボックスまでご提供下さい(ウソです。ていうか絶対提供しないで!本当に見つけたらワタシ、やっちゃうと思うので・笑)。
インターネット世界の状況には疎いワタシですが、一言で申し上げれば、奇跡の掲示板だったと思います。ワタシ程度の名声とはいえ、タレントが実名で書き込む場でありながら、真の意味での豊穣とリラックスがあり、ワタシも含めた多くの方々の、憩いの場にして勉強の場でした。4年半で大きなアラシは2〜3回しか現れませんでしたが、うち2人は一種の天才であって、最終的には出入り禁止に成ってしまったとはいえ、今ではおそらく誰も憎んではいませんし(DJKYこと水谷君は、本当にワタシの事務所に謝罪に来たのよ。まあ、天才にありがちな、大袈裟すぎる身振りですがな・笑)、興奮しただけの程度の低いバカに対しても、シカトといった消極策ではなく、我々全員で相手をして弄りたおし撃退するといった、高いエンターティメント性と知性があったと思います。
ワタシは自分に対する物を含めた、あらゆる「信者さん」が苦手で、信者だけが待ち受ける場に出て行って悠々と振る舞う。等といった素晴らしい才能があったら、今頃えーとー、じゅ、10万枚位売れているのではないかと思う訳ですが(せつない。せつなすぎる。設定される数が・笑)、ここには「適度なワタシのファン(何か一つぐらい、ワタシの仕事を知っていて、憎からず思っていて下さる。程度の)」の方が多くいらっしゃった事が先ほどの「奇跡」を生んだと思います。ワタシを神格化したりしない、「適度なファン」であり、「ご近所さん感覚」の、極めてオトナだった常連の皆さんに、心からの連帯と感謝のテレパシーを送ります。本当に有り難うございました。本当に楽しかったです(荒れている間さえ、一番楽しんだのはワタシだと思います)。
そしてひとえに、そうした人々を引き寄せたのもそっくりもぐらさんの人徳によるものだという、既に何方もご存知の事を、最後に改めて強調させて頂きます。単に講義録をアップしたいだけのオッサン(失礼・笑)だと思っていたら、これはもう、とんでもない話だったのです。
ワタシは先ほど申し述べた通り(そして皆様すっかりご存知の通り)この歳、この仕事、この立場に成ってもまだ、心から狂犬やカミソリが完全に追い出しきれずにいる、欲望の強い、荒ぶる極端な人間です。ですから、いつでも「ゆったりしたサロン」「ふんわりしたご近所付き合い」を追い求めながら、自分の力だけで生み出す事はとうとう出来ませんでした。ワタシの中に現在あるリラキシンやいい湯加減な感じは、ジャズミュージック、加齢、そして何より、この板がワタシに教えてくれた(厳密にフロイド的に言えば「思い出させてくれた」)物です。
ですからここは本当に、ワタシにとって最初の中間地点でした。中間や中庸が難しいのよ本当に&それにしてもオトナの生きずらい世の中になったわよね(笑)。というか、我々(と、敢えて乱暴にくくりますが)も、この数年で、共にかなりオトナになったのではないでしょうか。ガキ共(ここで言う「ガキ」が、ひょっとしたら同年輩かも知れない所に、高い現代性が有ります)にアタックをかけられ、汚染から敢えて身を引く事を、むしろ潔しとする。などという感覚は、たった4年半前のワタシには、少なくとも有りませんでした。自分が発した問いに、4年半がかりで答えを出す。等という事は、4年半前のワタシには、少なくとも無理だったと思います。
さてそういうわけで、とうとう終わりが来た訳ですが、「最後に果たした役割、最後に放ったメッセージ」とは何だったか?という事について、話をワタシ一人に引き寄せてはいけませんが、少なくともワタシ的にはこういう事だったのではないかと思っています。以下はワタシのサイトの「速報」の、今年最初の書き込みです↓
<昔は15日までだった物ですが最近は7日、ぎりぎりの松の内ですから謹賀新年と申し上げるのも憚られる訳ですが、まあ何と言うかユルくこのう行きましょう明けましておめでとうございます。今年も変わらぬ御贔屓の程、よろしくお願い致します。
さてユルく行くなどと言いながらいきなり剣呑な事を言う様ですが、これは直感と言うか、まあもう、ほとんどポエジーに近い年頭所感ですけれども、ワタクシ昨年で「前の戦争」はやっと終わったと思っています。ワーイズオーヴァー悲しいけれど終わりにしようキリがないから。ジョン・レノン&オーヤン・フィーフィーも歌っております。お若い方にはお解りに成らないでしょうなあ。最近のお若い方は「解らない」のがお嫌いですからさぞかし不愉快だと思いますがまあご勘弁を。ワーイズオーヴァー泣くな男だろう。終わりにしよう。ワーイズオーヴァー。耳を塞ぎたく成る様な酷い替え歌です。
08年と言うのは古来から既に00年代ではなく10年代の始まりでることは、少々歴史を齧った事がある方ならばご存知でしょう。思い出します68年、78年、88年、そして98年。と言う訳で、やっと長きにわたる戦争が終わり、今年からまったく新しい戦争が世界で同時に始まるとワタシは思っております。勿論ドカーン!とかバリバリバリ!とかいうアレは前の前の世代の戦争です。更に言えばアニメのドカーン!とかバリバリ!は前の世代の戦争です。
前の戦争が終わり、新しい戦争が始まる。という話に「ああ、なんつうか解るなそれ」なんつって頷かれる御仁も多かれと思います。ただ、それがどういう戦争か解らない。実はワタシにも解りません。
ただ、ワタシ思うに、とにかく随分と姿は違うんじゃあねえか。前の戦争はワタシ本当に虫の好かねえウジウジした奴だったけれども、今度の戦争はアタシ好みなのではないか。ちょっとこう、凄げえというか色っぽいというか、姿形が良い様な気がするんだよなあ。どうにもこうにも。なんてテメエに都合の良い空想をしております。
勿論「格差社会で、ワーキングプアの人は日常と闘う戦士だあ」「ネット社会での暴力性が実社会に漏れ出して路上は対テロ戦の戦場だあ」とか何とか、貨幣価値にして17円ぐらいの戯言抜かし、パソコンに顔面が張り付いたバカ焚き付けて良い調子。なんてえ景気の悪い仕事はしませんぞ。茂木×斉藤賭博でドンペリのヴィンテージのマグナムが二本買えましたんで、大晦日の区役所通りで思いっきりシェイクして天までブチ上げてやりましたよ。ホストとホステスが流れ星と思ったと云う。通り一面で拍手喝采です。戦争ですからなあ。シックで、クールで、クレイジーに景気よく行かないとね(後略)>
「おっさん達が夏場に、使い古した板を放置していたら、新型のバイキンに汚染されて、使い物にならなくなってしまった」というのも、一つのアナロジーであり、極論するならば、ワタシはそれならそれで良いと思います。そうした事実を明確に見せる事も、年寄りの特権です。
しかし、ワタシはこの年頭所感が正月ボケの幻想だったとはとても思いません。現在我が国は、笑ってしまうほど格差だらけテロだらけであり、そりゃあガキならば暴れるしきゃないでしょう。大いに結構。大いに暴れて頂きたい。そして、そんな世の中でリラックスし、落ち着いて物を考え、楽しく生きる。というのは、相当なセンスとスキルが必要です。少なくとも、ロハスにしてればそれで良い。或は、ボケっとしていれば、或は常に闘っていれば、それで良い。なんて簡単な物では無い筈です。この板の終了は、そうしたメッセージを放ったとワタシは信じていますし、放たれたメッセージは、やがて自分に届き、答えが出る。とワタシは信じています。
と、そういうわけで、そっくりもぐらさんとワタシで飯でも喰いながら次の策を練ります(ウソ。もう練ってあります・笑)。書き込んで下さった総ての皆様(一人の例外も無く)に感謝します。素晴らしい時間でした。有り難うございました。
2008/8/10
菊地成孔拝
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