【ソウル中島哲夫】韓国の李明博(イミョンバク)大統領は11日、公営放送KBS(韓国放送公社)の鄭淵珠(チョンヨンジュ)社長を解任した。鄭氏は盧武鉉(ノムヒョン)前大統領が左派系新聞社から異例の抜てきで任命した人物。解任劇には左派勢力が猛反発し、最大野党・民主党は違憲審査請求などによる解任無効化闘争を宣言した。
完全公営のKBSや半官半民のMBCは従来、政権寄りの報道姿勢を取る傾向があり、金大中(キムデジュン)、盧武鉉両政権下の10年間で左傾化した。だが、李政権発足後は保守回帰せず、米国産牛肉輸入再開問題では反政府デモに好意的な報道を続けた。
特にMBCは牛海綿状脳症(BSE)の恐怖を強調し、デモのきっかけを作った番組について訂正報道を命じる判決を受けたが、保守勢力の反発を招いてきた点ではKBSも同様だ。
こうした状況を背景に、政府機関の監査院はKBS理事会に対し、放漫経営などを理由に鄭氏の解任を大統領に求めるよう勧告。李大統領は11日、理事会の解任提案文書に署名、裁可し「KBSも生まれ変わらねば」と述べたという。
毎日新聞 2008年8月11日 18時50分