在留邦人向け安全の手引き


在外公館がまとめた安全の手引きです。海外の在留邦人が、事件や事故に巻き込まれないために留意すべき事項の他、(必要に応じて)戦争、暴動等の緊急事態への備えと緊急時の対処方法が記載されています。

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| 在サンフランシスコ日本国総領事館 | 在シアトル日本国総領事館 |
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| 在ニューオリンズ日本国総領事館 | 在ニューヨーク日本国総領事館 |
| 在ヒューストン日本国総領事館 | 在ポートランド日本国総領事館 | 在ボストン日本国総領事館 |
| 在マイアミ日本国総領事館 | 在ロサンゼルス日本国総領事館 |
 
※在外公館別マニュアル集アメリカ合衆国は全15ページあります。
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生活安全の手引き


平成20年4月改訂
在マイアミ日本国総領事館



目 次

 はじめに
  1. 防犯上の基本的な心構え
  2. 海外の安全に関する情報収集
    (1)在マイアミ総領事館の安全情報提供
    (2)外務省の海外安全ホームページによる情報提供
  3. 管内の犯罪発生状況
    (1)フロリダ州概況
    (2)フロリダ州内の治安情勢
    (3)最近の日本人の被害状況
  4. 防犯上の具体的な注意事項
    (1)殺人、強盗等の凶悪犯罪に巻き込まれないために
    • 自動車を運転する際の注意事項
    • 現金自動預払機(ATM)を利用する際の注意事項
    (2)空き巣や押し込み強盗に遭わないために
    • 居住地の選定
    • 住居の物理面での安全確保
    • 生活面での安全確保
    (3)置引き、スリ等の盗難被害に遭わないために
    (4)車上狙い、自動車盗の被害に遭わないために
    (5)その他の注意事項
  5. 犯罪の被害に遭ったら
    (1)警察への通報
    (2)旅券(パスポート)を盗まれたら
  6. マイアミの交通事情
  7. 交通事故にあったら
  8. 「まさかこの程度で逮捕?」
  9. 自然災害対策
  10. 大規模災害発生時における「全米・カナダ邦人安否確認システム」の利用
  11. テロ対策
    (1)テロを巡る情勢
    (2)テロ対策

  最後に・・・総領事館からのお願い

 

はじめに

 在マイアミ日本国総領事館では、皆様の安全対策の参考として、マイアミにおける犯罪情勢や事件・事故、トラブル等の事例等を基に、「生活安全の手引き」を作成いたしました。
 太陽溢れるフロリダ州(Sunshine State)における皆様の生活を、より安全なものとするためにも、是非ご一読ください。また、お気付きの点がございましたら、総領事館までご連絡をお願い致します。

マイアミ総領事館からの情報提供
 マイアミ総領事館では、インターネットなどを通じてマイアミの治安に関する情報やハリケーン等に関する情報などを提供していますのでご利用ください。
 ◎マイアミ総領事館ホームページ
  http://www.miami.us.emb-japan.go.jp/

在マイアミ日本国総領事館(Consulate-General of JAPAN at MIAMI)
 80 S.W. 8th Street, Suite 3200, Miami, Florida 33130
  TEL:305(530)9090(代表) FAX:305(530)0950
  E-mail keibi@cgjmia.org(安全情報関係)

 総領事館では、皆様のマイアミにおける生活をより快適で安全なものとするため、犯罪に関する情報提供や相談を行っています。犯罪被害に遭った場合や犯罪に関する情報をお持ちの場合は総領事館まで連絡ください。ご協力をお願いします。

 

1.防犯上の基本的な心構え

(1) 自分の身は自分で守る
 海外では日頃から、犯罪の被害に遭わないよう、「自分の身は自分で守る」「安全は自分達で確保する」との心構えが大切です。

(2) 予防が最大の危機管理
 予防こそが最大の危機管理であることを肝に命じ、「今、何が危険なのか」「自分は大丈夫か」等を常に点検することが大切です。

(3) 安全のための基本原則
 安全の基本は「目立たない」「行動を予知されない」「警戒を怠らない」です。日本での行動形態のままでは、本人の意識如何にかかわらず、目立ち、危険にさらされることになりかねません。

 

2.海外の安全に関する情報収集

 安全に関する情報収集は、事件・事故やトラブルの防止策として、海外生活では欠かすことのできないものです。日頃から安全に関するニュースに注意を払うよう心掛けてください。
(1) 在マイアミ総領事館の安全情報提供
 在マイアミ総領事館はホームページやEメールによる治安情報の提供を随時行っています。
◎在マイアミ総領事館ホームページ
  http://www.miami.us.emb-japan.go.jp/

(2) 外務省の海外安全ホームページによる情報提供
 外務省では「海外安全ホームページ」上で、治安や安全対策等の各種情報提供を行っています。
◎ http://www.anzen.mofa.go.jp/

(以下の冊子の内容が同ホームページ上でご覧になれます。)
● 海外安全虎の巻 ● 海外で困ったら
● 爆弾テロ対策Q&A ● 海外における誘拐対策Q&A
● 海外における脅迫事件対策Q&A ● CBRNテロ対策Q&A
● 海外赴任者のための安全対策小読本  

 

3.管内の犯罪発生状況

(1) フロリダ州概況
 2006年のフロリダ州の犯罪発生件数は、約85万件であり(昨年比1.4%増)、過去10年来減少傾向にあった犯罪発生件数は2006年に増加に転じています。同年のFBI統計によると同州の凶悪犯罪(殺人、強姦、強盗、暴行・傷害)発生件数は128,795件、人口10万人当たりの凶悪犯罪発生率は712件で全米第4位と非常に高い水準で推移しています。(東京都の人口10万人当たりの犯罪発生率1,982件に対しフロリダ州は4,475件)

フロリダ州と日本の犯罪比較

  フロリダ州 マイアミ・デード郡 日本 東京都
犯罪総数 849,926 145,346 2,050,850 244,611
殺人 1,126 240 1,309 133
強盗 34,123 7,538 5,108 668
強姦 6,471 822 1,948 232

表2 州内犯罪種別発生件数

種別 2006年(前年比)



殺人 1,126 (+28.1%)
性犯罪
(強姦)
11,567 (- 5.4%)
(6,471:-1.6%)
強盗 34,123 (+13.4%)
加重暴行 82,682 (+ 0.1%)

侵入盗 170,733 (+ 3.6%)
スリ・置引 473,281 (+ 0.2%)
自動車盗 76,411 (+ 1.6%)
合計 849,926 (+ 1.4%)
※ 凶悪犯罪とは:殺人、性犯罪(強姦・強制猥褻)、強盗及び加重暴行
   (加重暴行とは意図的な重傷害、凶器使用による傷害・傷害未遂・殺人未遂)

表3 フロリダ州の犯罪発生件数(過去10年間)

  総数 うち凶悪犯罪
97 1,073,757 (7,298) 150,801 (1,025)
98 1,025,100 (6,834) 139,673 ( 931)
99 934,349 (6,098) 128,859 ( 841)
00 895,708 (5,604) 128,041 ( 801)
01 911,292 (5,580) 130,323 ( 798)
02 900,155 (5,398) 127,905 ( 767)
03 881,615 (5,164) 124,236 ( 728)
04 850,490 (4,855) 123,697 ( 706)
05 838,955 (4,715) 125,957 ( 708)
06 849,926 (4,632) 129,501 ( 705)
( )内は人口10万人当りの犯罪発生件数

 

(2) フロリダ州内の治安情勢
 郡別の犯罪発生件数は、マイアミ・デイド郡、次いで同郡の北に隣接するブラウワード郡、オーランドを抱えるオレンジ郡の順となっています。10年来減少していた犯罪は2006年に増加に転じ、特に凶悪犯罪の発生件数が伸びています。マイアミ市中心部(ダウンタウン、リトル・ハバナ、リトル・ハイチ)には、夜間不用意に立ち入らないことを勧め致します。

表4 マイアミ・デイド郡内犯罪発生件数
2006年
都市名 総数
マイアミ都市圏周辺部 58,841
マイアミ市 26,219
ハイアリア地区 9,937
マイアミ・ビーチ地区 8,697
マイアミ・ガーデンズ地区 8,149
表5 州犯罪発生件数内
2006年
郡名 総数 殺人 強盗
マイアミ・デイド郡
人口2,437,022人
145,346
(5,964.1)
240 7,538
ブラウワード郡
人口1,753,162人
75,314
(4,295.9)
87 3,685
オレンジ郡
人口1,079,524人
68,520
(6,347.2)
121 4,280
パームビーチ郡
人口1,287,987人
63,798
(4,953.5)
92 2,909
ヒルスボロ郡
人口1,164,245人
62,143
(5,453)
61 2,464
( )は人口10万人当たりの犯罪発生件数

 

(3) 最近の日本人の被害状況
 邦人被害の多くは置引き、スリ、車上狙い、空き巣等の盗難被害です。被害場所は、オーランド、マイアミ・ビーチ、マイアミ(ダウンタウン)、ショッピングモール等で多発しています。一歩間違えば生命に危険が及ぶような事案も発生しているので、日頃から十分注意してください。

(邦人の犯罪被害実例)

<強盗>

  • マイアミ市内のダウンタウンを走るメトロムーバー(無人モノレール車)車内で、男性2名と乗り合わせた際、2人からいきなり頭部を殴られ、現金、旅券、免許証等在中のバックパックを強奪された。(2003年9月)


  • フォート・ローダデール市内のウイルトン通りを歩いていた際、男性に付きまとわれ、すれ違いざまに銃を突き付けられて、旅券やバック等を強奪された。(2002年12月)


  • 観光でマイアミを訪れた女性が、休日でタクシーが拾えなかったため、声をかけてきた男性3人組の車に乗車したところ携帯電話等を強奪された上、暴行を受けた。(2005年11月)


  • 仕事を終え、ノース・ベイ・ビリッジの自宅に帰宅したところ、自宅駐車場において、男性に拳銃を突きつけられ、ショルダーバッグ(現金、旅券、等在中)を強奪された。(2005年12月)

<窃盗>

  • マイアミ市内リトルハイチ地区のガソリンスタンドに立ち寄った際、給油後、買い物をしている間に車内に置いてあった旅券等在中の鞄を盗まれた。(2005年5月)


  • オーランド市内のホテルのテニスコートにおいて、男性2人組に話しかけられた隙に、現金、旅券等在中のウエストポーチを盗まれた。(2005年8月)


  • マイアミ市内のレストランの駐車場において、車の窓ガラスを割られ、座席下に置いてあった現金、旅券等在中の鞄を盗まれた。(2005年9月)


  • マイアミ・ビーチにおいて、3、4分目を離した隙に砂浜に置いていた現金、旅券等在中の鞄を盗まれた。(2005年9月)


  • フォート・ローダーデールのショッピングセンターにおいて、ショッピング・カートに入れていた鞄(現金、旅券、クレジットカード等在中)を盗まれた。(2005年11月)


  • マイアミ市内の友人宅を訪問した際、路上に駐車していた車の窓ガラスを割られ、現金、旅券、クレジットカード等在中の鞄を盗まれた。(2005年11月)


  • マイアミ市内の日本食レストランにおいて、車の窓ガラスを割られ、後部座席においてあった現金、旅券、デジカメ等在中のリュックサックを盗まれた。(2005年12月)


  • キーウエストに向かうバス内で居眠りをしていたところ、ショルダーバック(現金、パスポート等在中)を盗まれた。(2006年3月)


  • 仕事からの帰宅途中、マイアミの自宅前にてハンドバックをひったくられた。(同様の事件が2件連続して発生。)(2006年7月)


  • マイアミ・ビーチのレストランで食事中、椅子に掛けていたハンドバックを盗まれた。(同様の事件が2件連続して発生) (2006年8月)


  • マイアミ市内のガソリンスタンドで給油中、車両から離れトイレに行った隙に車内に置いていたハンドバック等を盗まれた。(2006年11月)


  • キーウエストで車両を駐車中、窓ガラスを破壊され車内に置いていたバックが盗まれた。(2006年11月)


  • マイアミ・デード郡内(ドラール)のショッピングモールに車両を駐車していたところ助手席に置いていたハンドバックが盗まれた。(2007年6月に同種事件が2件発生)


  • 午後8時から10時の間、路上に設置してあるコインパーキングに駐車中、助手席側のガラスを割られ、ダッシュボード内の物品を窃取された。(2007年10月)


4.防犯上の具体的な注意事項

(1) 殺人、強盗等の凶悪犯罪に巻き込まれないために
 マイアミ・デード郡における凶悪犯罪の多くは、マイアミ市内のダウンタウンとその周辺部等の特定の地域で発生しています。これら凶悪犯罪から自らの安全を守るためには「危険な地域に立ち入らない(未然の危機管理)」ことが極めて重要です。また、銃等の凶器をつき付けられた場合は、「身の安全を第一に考え、抵抗しないこと(金銭は諦める覚悟が必要)」が大切です。最近の強盗事件等の特徴的傾向として駐車場、ガソリンスタンド等における犯罪が多発しています。以下のことに十分注意してください。

<自動車を運転する際の注意事項> (マイアミ・デード郡警察資料)
  • 目的地までのルートを事前に確認しておく
  • 道に迷った時は、サービス・ステーション等の安全な場所で、位置確認を行う
  • 運転中に車の異常等を指摘されても、すぐに止まらず、最寄りのサービス・ステーションや照明の十分明るい場所で確認すること
  • 車が故障した場合は、ドアをロックし、ハザードランプを点灯させて、警察に通報し警察官の到着を待つこと。
  • 車に乗車中はドアをロックすること(特に信号待ち時に注意)
  • 貴重品は外部から見える位置に置かない
  • 駐車する時は、人気のない場所や暗い場所を避けること
  • 車を離れる場合は、僅かな時間であっても施錠すること。また、子供を車に放置しない。
  • 後をつけられていると感じたら最寄りの安全な場所に行き、警察に通報すること
  • 凶器を突きつけられた場合は、抵抗せず、要求する物を渡す。
  • 緊急時に備え、電話番号リストを準備しておく
    (警察への緊急通報は911)
  • 地理が不案内な場所を移動する際は、大通りを通行すること

<現金自動預払機(ATM)を利用する際の注意事項>
  • 周囲の確認
     不審者がいないかどうかを確認し、機械の操作中も常に周囲の状況に注意する。異常を感じた場合は、直ちに操作を中止し、その場を離れるとともに、警察等に通報する。
  • 操作終了時
     現金を引き出し後は、その場で現金を数える等、人の注意を引くことせず、その場を離れる。もし異常を感じた場合は、警察に通報し最寄りの安全な場所に移動する。

(2) 空き巣や押し込み強盗に遭わないために(住居における安全確保)
(イ) 住居地の選定
 住居選定の際は、前任者や同僚等の意見を参考に「地域の安全性」を優先してください。また、家主が住居の安全対策上の改善や修理に消極的であるか否かも大切なポイントです。一般的に言は、以下のような場所は避けた方がよいと考えられます。
  • 商店、住宅等の大半が鉄格子等で厳重に囲まれているところ
  • 道路等にゴミが散乱し、壁等に落書きが多いところ
  • 特定の人種のみの居住地域
(ロ) 住居の物理面での安全確保
 次のチェックポイントを参考に安全に留意してください。
<建物の扉、窓、壁>
  • 玄関等の扉の鍵は強固か、ドアチェーンはついているか
  • 玄関扉に覗き穴、インターフォンなど訪問者の確認手段があるか
  • 玄関扉の周囲に窓(手を伸ばして扉を開けることができる)はないか
  • 扉、窓とその枠、鍵は頑丈であり、センサーなどの侵入警戒装置がついているか
  • 建物の壁、屋根、床下など建物全体として侵入されにくい構造か

<庭、車庫(一軒家の場合)>
  • 庭、車庫の照明は十分か
  • 植え込み、生け垣は隠れ場所とならないか

<玄関ロビー、駐車場(アパートの場合)>
  • 玄関ロビーや駐車場は管理人又は守衛が管理しているか、機械警備が導入されているか(住民以外が勝手に入れないようになっているか)
  • 玄関ロビー周辺及び駐車場の照明は十分か
  • 夜間の玄関ロビー出入口、駐車場の管理は万全か
  • 守衛、カード読取機、テレビ監視装置などの管理は信頼できるか
  • 建物内に警報装置、防火設備、非常階段などはあるか
(ハ) 生活面での安全確保
<訪問者に対する注意>
  • 訪問者に対しては、ドアチェーンをかけ、覗き窓やインターホンで相手を確認する
  • 連絡なしに工事人等が来た場合は、インターホンで用件、派遣元の電話番号を聞き、確認する

<休暇など長期間不在とする場合>
  • 侵入警報装置があればセットする
  • 新聞の配達を一時的に停止し、第三者に不在を察知されないようにする

<ホテル滞在中>
  • 部屋を不在にする時は、貴重品をセーフティボックスに保管する
  • 室内にいる時は、必ずドア・チェーンを掛けておくこと
  • 外出する際は、ホテルの名称、所在地、電話番号をメモしておくこと

(3) 置引き、スリ等の盗難被害に遭わないために
 置引き、スリ等の窃盗事件は、空港、ホテル、レストラン等不特定多数が集まる場所で発生し、日本人旅行者も被害に遭っています。被害の大半は荷物から目を離した隙に発生していることから、「持ち物から目を離さないこと」が大切です。(誘拐防止のため、小さな子供からも目を離さない
<具体的注意項目>
  • 空港で見知らぬ人から話かけられても荷物から目を離さない
  • 空港内のバッゲージ・クレームでは、手荷物を決して放置しないこと
  • 貴重品の入ったバッグやウエスト・ポーチは、しっかりと口を締め、体の前面で持つ
  • ホテルのチェックイン、チェックアウト時は、荷物を両足で挟むか、目の届く机の上に置く
  • レストランで席を離れる場合は、決してカバン等を置きざりにしない

(4) 車上狙い、自動車盗の被害に遭わないために
  • マイアミビーチ付近やショッピングモールに駐車する際は車上狙いに十分注意する
  • 駐車する時は、できるだけ明るく、人通りの多い場所を選ぶ
  • 車内には貴重品を置かない(トランクに入れても安全とはいえない)
  • 車に盗難防止アラーム、又はハンドル固定器などを付けることが有効
  • 長時間駐車する場合は、なるべく警備員のいる駐車場を利用する

(5) その他の注意事項
  • 緊急連絡先リスト(総領事館、警察、病院など)を常備する
  • 電話が掛かってきた時は、相手が名乗るまで名乗らない

 

5.犯罪の被害に遭ったら

(1) 警察への通報
(イ) 緊急時−緊急電話911(警察・消防・救急)
 凶悪犯罪の被害や緊急事態に遭遇し、至急救援を求める必要がある場合は、911で警察に通報してください。(公衆電話の場合、コインは必要ありません。)
(ロ) 緊急時以外
 被害発生から、時間が経過した場合には、事件発生現場を管轄する警察署に連絡し、被害を届け出てください。正式のポリスレポート(事件報告書)の作成には、通常1週間程度かかりますが、その場合は受理番号等を記入した用紙(受理証明)を受領してください。このポリスレポート(受理証明)は、旅券等の再発給の疎明資料としています。
<(参考)マイアミ付近の警察署の電話番号>
 マイアミ・デイド郡   305-476-5423
 マイアミ市        305-579-6111
 マイアミ・ビーチ    305-673-7900

(2) 旅券(パスポート)を盗まれたら
  • 旅券を盗まれた場合、警察に届け出る
  • 日本総領事館にて再発給の手続きを行う
  • 再発給時の持参品:事前に総領事館にご確認ください。
     運転免許証等のID、顔写真2枚(縦45×横35ミリ)、警察の事件報告書(incident report)又は受理証明、戸籍謄(抄)本(発行後6か月以内)、手数料が必要です。
  • 旅券再発給の時間的余裕がない場合
     短期旅行者の方には「帰国のための渡航書」(日本への帰国のみ)を発行しています。

 

6.マイアミの交通事情

(1) 概要
 フロリダ州における2006年中の交通事故死者数は、3,374人(飲酒運転による交通事故死者数が全体の約4割)であり、全米第3位の高い発生件数となっています。事故の多くは、スピードの出し過ぎ、車間距離不足による追突、安全確認不十分による接触事故等、運転マナーは劣悪であり、無謀な運転者が目立ちます。
*2006年の日本の死亡事故発生件数は6,147件。

(2) 注意事項
  • 事故に巻き込まれないよう、前後左右の注意を怠らない。
  • 大型車両の後方を走行する際は十分注意する。
  • 予測運転を心掛け車間距離をとり走行する。
  • 周囲の車両に注意し、自らの運転、スピードの出し過ぎにも注意する。

交通事故死者数(上位3州)
2006年
州名 死者総数(前年比)
カリフォルニア 4,236(-2.2%)
テキサス 3,475(-1.7%)
フロリダ 3,374(-4.1%)
合計 38,588(-1.01%)
飲酒運転による交通事故死者数(上位3州)

2006年
州名 死者数(前年比)
1 カリフォルニア 1,779(+0.005%)
2 テキサス 1,677(-1.2%)
3 フロリダ 1,379(+0.002%)
全米合計 17,602(+0.006%)

 

7.交通事故にあったら (フロリダ州政府の指導要綱)

(1) 停車する
 事故にあったときは安全且つ速やかに停車し、負傷者がいる場合は必要に応じて救急車(911)を呼ぶ等、負傷者の救援処置を最優先にしてください。

(2) 報告
 事故については、管轄警察署やフロリダハイウェイパトロールへの通報義務があります。現場に到着した警察官は事故レポートを作成しますが、対物損害が500ドル以下と思われる場合は、警察官は事故レポートを現場で作成しないので、当事者が事故発生後10日以内に所定の用紙に概要を記載しFlorida Department of Highway Safety and Motor Vehiclesに提出しなければなりません。

(3) 事故車両を動かす
 他の車の通行を妨げているときは、車両を移動してください。自力で動かせない場合は、牽引トラックを呼ぶ等の措置を行ってください。(保険会社等に連絡し手配)

(4) 出廷
 起訴された場合、裁判所に出頭しなければいけません。法廷では事故状況を説明する機会が与えられた後に判決が下されます。事故発生後何もせず立ち去った場合は、刑法により一層厳しい判決が下されることになります。

(5) その他注意事項
(イ) 二次災害防止
 事故後はハザードランプを点灯させる等、二次災害防止に心掛けてください。また、事故現場横を通過する車は法定速度より20マイルの減速が義務付けられています。
(ロ) 相手側の情報をメモする。
 事故当事者は運転免許証、車の登録証、保険会社の連絡先等の情報を交換しておきましょう。

 

8.「まさかこの程度で逮捕?」


 日米の文化・習慣の違いにより注意しなければならないことは色々ありますが、警察官との応対もその一つです。

(1) 警察官と応対する際の一般的な注意
  • 興奮したり、悪態をついたりしないこと
     警察官から何らかの違反をとがめられたり、指示を受けた場合、不服があっても、決して興奮したり、悪態をついてはいけません。納得がいかなければ、冷静に話をしましょう。明らかに非協力的な態度に出ると(例えば、○基本的な質問に全く答えない、○話しても無駄だと考え勝手にその場を離れる等)状況によっては、証拠隠滅と見なされ逮捕されます。

(2) パトカーに停車を命じられた場合について
  • パトカーがランプを点滅させ車の後方についたら、「道路脇に停車しなさい」という意味です。
     パトカーがランプを点滅させて後ろについたら、速やかに道路右端に寄って止まりましょう。
  • パトカーに停車を命じられた場合、警察官が来るまで、待っていなければなりません。
     警察官がなかなか来ないからといって、自分から車を降りてパトカーに近寄ったり、その場から走り去ってはいけません。停車してから、警察官が質問に来るまでに概ね5分ぐらいはかかります。

(a) 武器等を所持していないことが分かるように、両手をハンドルに置いて待ちましょう。
(b) 免許証を身体に身に付けていない場合(トランク内や後部座席のバックに入れている等)は、警察官と対話した後に許可を受けてから取り出すようにしましょう。

(3) 実際に問題となった事例(他州の事例も含む)

事例1
 無意識にふらつき運転をしたら、覆面パトカーに停車を求められ、私服の女性刑事に職務質問された。その場はそれで済んだが、走り出して間もなく別の覆面パトカーに停車を求められ、今度は、男性刑事からいきなり銃を突き付けられ、車から降ろされて手錠を掛けられた。
検討
 米国では、蛇行運転をすると、酒酔いや過労運転のみならず、麻薬中毒を疑われます。この場合、受傷事故防止のため不審者への職務質問に際し、銃を構え、手錠を掛けた可能性があります。

事例2
 交通整理をしている警察官の制止を無視し道路を横断したら逮捕された。
検討
 目の前に警察官がいても、「道を渡るぐらい」程度の軽い気持ちで、つい横断してしまったようですが、米国では警察官の指示は絶対に守らなければなりません。

事例3
 深夜、駅で酔っぱらって寝込んだところ、警察官から声を掛けられた。うるさがって手で払いのけようとしたら逮捕された。
検討
 米国では、公共の場で酩酊の上騒いだり、警察官に反抗的態度をとれば、逮捕の対象となります。

事例4
 邦人女性がホテルでの料金トラブルを巡り、フロントで交渉しているところへ警察官が臨場した。警察官は説明を受けながら内容をメモした後、フロントのカウンターへクリップ・ボードを置いた。たまたま女性がそのクリップ・ボード上に手を置いたところ逮捕された。
検討
 日米では、公務執行妨害に対する解釈に大きな差があるという典型的事例です。警察官の身体や所持品は、たとえ拳銃等でなくとも絶対に触ってはいけません。公務執行妨害で逮捕されます。

事例5
 観光地の娯楽施設で些細なことから夫婦が口論し、夫が妻の顔を叩き先にホテルへ引き返した。鼻血を出した妻は、救護施設で応急処置を受けたが、その際、「ハズバンド、パンチ」と原因を説明した。通報により臨場した警察官に暴力行為と判断された夫は逮捕され、妻が「仲直りした・逮捕しないで欲しい」と懇願しても聞き入れられなかった。夫は2日後、保釈金千ドルを支払って釈放された。
検討
 米国では、通報があって警察官が臨場した場合は、必ず両者を隔離し、明らかな暴力の痕跡があれば必ずと言っていいほど逮捕されます。

事例6
 幼い子供を連れて買い物中、子供がぐずって言うことを聞かないので、「静かにしなさい」と言いながら子供を叩いた。店からの通報で駆けつけた警察官に幼児虐待容疑で逮捕された。
検討
 日本ではよく見られる光景ですが、米国では幼児虐待は大きな社会問題の一つになっていますので、躾のつもりでも叩いたりすると逮捕されかねません。

事例7
 子供を連れ車で買い物に出かけたところ、子供が寝てしまったので、そのまま車内に寝かせ、買い物をし、車に戻ると警察官が子供を保護しており、親は幼児放置により逮捕された。
検討
 米国では、たとえ大事に至らなくても、幼児を放置すれば逮捕されます。

事例8
 米国男性と結婚した女性が、些細なことから自宅において夫と口論し、夫が勝手に家から出て行ったので、腹いせにお皿などの品物を床に投げつけた後、先に一人で寝ていた。その後、帰宅した夫が、床に散乱する割れた食器を見て警察へ通報、日本人妻は警察官に逮捕された。
検討
 米国では家庭内暴力が社会問題となっており、警察も厳しい対応をとっています。

事例9
 邦人留学生が写真のフィルムを現像に出したところ、ホームスティ先の幼児の入浴姿が写っていたため、写真屋の通報で駆けつけた警察官に児童ポルノ法違反容疑で逮捕された。
検討
 児童ポルノが大きな社会問題になっている米国では子供の裸が写っていると警察に通報されます。たとえ自分の子供であっても、不用意に裸の写真を撮影したりすると警察沙汰になりかねません。

(4) このような事にもご注意ください!
  • 住宅地、通学時間帯等では制限速度が低く設定されており、うっかり標識を見落とすと思わぬ速度超過となります。速度標識を見落とさないよう、気をつけましょう。
  • マイアミで自動車を運転する際は、強盗予防のためにもドアをロックし、窓を閉めておきましょう。また、停車の際も車間距離を広めに空けておき、いざという時に脱出できるよう心掛けましょう。
  • ショッピングモールの駐車場やマイアミ・ビーチの路上パーキングで車上狙いが頻発しています。駐車する際には、できるだけ車内に荷物を放置せず、パスポートや財布等の貴重品は常に携行するよう平素から習慣づけておきましょう。
  • フロリダ州法では、5歳以下の幼児は、後部座席に設置されたチャイルド・シートに乗車させなければなりません。助手席にチャイルド・シートを付けたり、大人が抱いているとパトカーに停車を命じられることとなります。

 

9.自然災害対策

 6月1日から11月30日迄の期間はハリケーン・シーズンです。シーズン中はハリケーンの襲来に備え、最新の気象情報の収集に努め、停電用備品(懐中電灯、乾電池、水、非常食、ラジオ、カセットコンロ等)の確保、ハリケーン・シャッター等家屋の保全措置、避難先の確認等の準備が大切です。総領事館のホームページにハリケーン対策を掲載しています。ご参照ください。
◎ 国立ハリケーンセンター
  電話 305-229-4470:ホームページ( http://www.nhc.noaa.gov/



10.大規模災害発生時における「全米・カナダ邦人安否確認システム」の利用

 全米・カナダ地域で大規模な災害が発生した場合に安否・所在を直接確認できるシステムです。

(1) 「全米・カナダ邦人安否確認システム」とは
 海外で緊急事態や大規模な災害が発生した際に、連絡手段を持ち合わせていない、電話回線の混乱、電話会社がサービス停止等により日本の家族、知人等と連絡がとれない可能性があります。外務省は、被災地にいる方が手軽に公衆電話等からでも無料で自らの安否に関する伝言をデータセンターに残し、それを日本にいる家族等が聞くことによって、安否が確認できます。

(2) 本システムの電話番号 (ご利用の際には、次の番号に電話をおかけください。)
1-866-903-2674(ANPI)
1-866-904-2674(ANPI)
1-866-905-2674(ANPI)
  • 全米・カナダからは通話料無料
  • その他の地域からは、米国までの通話料有料
1-718-313-9150 通話料有料

(イ) このシステムは、複数の回線を使用しており、災害時に1つの電話会社がサービスを停止した場合でも、他の回線を利用し通話出来ます。
* 被災地の電話網がダメージを受けた場合等は、復旧するまでの間利用できない場合があります。
(ロ) 通信環境によりフリーダイヤルに繋がらない場合は、有料通話(1-781-313-9150)にお掛けください。

(3) 被災地にいる方が音声メッセージを録音する方法(全米・カナダ地域のみ)
 音声案内に従い、パスワードとして、あなたの電話番号(海外の自宅又は日本の自宅の電話番号)と生年月日を入力した後、お名前と安否・所在に関するメッセージ(30秒以内)を録音します。

(4) 録音した音声メッセージを再生する方法(日本、諸外国どこからでも可能)
 上記番号に電話し、音声案内に従い、パスワードとして、被災地にいる方の電話番号(海外の電話番号、又は日本の自宅の電話番号)と生年月日をプッシュボタンで入力すれば、登録した音声、メッセージを再生できます。なお、全米・カナダからフリーダイヤル番号に電話をかける場合は、通話料金無料ですが、日本や諸外国からは、米国までの国際通話料金が利用者負担となります。

(5) 大使館・総領事館からのお知らせの再生(日本、諸外国どこからでも可能)
 災害発生時に、渡航情報や危険情報等を聞くことができます。全米・カナダからフリーダイヤルを利用した場合は無料ですが、日本や諸外国からは、米国迄の通話料が利用者の負担となります。

 

11.テロ対策

(1) テロを巡る情勢
 日本人、日系企業がテロの標的、あるいはその巻き添えとなることは十分考えられます。旅行や滞在に際しては、治安情報のチェックと警戒心の保持に務めてください。テロ情報については、外務省「海外安全ホームページ」( http://www.anzen.mofa.go.jp/)をご参照ください。

(2) テロ対策
(イ) 不審物早期発見のための工夫
  • 整理整頓し事務所内外の死角をなくす。
  • 平素から不審物(放置荷物、小包、手紙等)に注意を払う習慣をつける。
(ロ) 脅迫電話への対処要領:冷静に対応することが何よりも大切
  • 電話を受けた人は、なるべく会話を引き延ばし、犯人の特徴等できる限り多くの情報を入手し、直ちに警備責任者に連絡することが賢明です。
    (録音装置やCaller ID(電話番号表示ソフト)等は証拠資料となりうる。)
  • 警備責任者は、直ちに警察(911)に通報すると共に、脅迫電話の信憑性を判断し、安全措置をとる必要があります。また、避難に際しパニックに陥らないため、予め避難経路等について日頃から周知徹底してください。
(ハ) 不審物発見時の措置
 爆発物の疑いがある不審物件を発見した際は、不用意に触ったりせず、速やかに容疑物件から遠ざかり、警察に通報して処理を依頼してください。
(ニ) 小包・手紙爆弾対策
 配達・受領の時点で以下の点に注意し、容疑物件の早期発見に努める。
  • 差出人が未知の人の場合や、差出人の住所が記載されていないもの
  • 重量、厚み等通常の手紙に比べ違和感のあるもの
  • 異臭や粉末等が付着しているもの
(ホ) 万一爆弾テロに遭遇したら
  • 爆発音を聞いたら、すぐその場に伏せる
  • 身近で爆発事件が発生した場合、直ちに現場から遠ざかる
    (第一の爆発をおとりにして、第二の爆発が起きる可能性がある)
  • ガラスを多く使用した高層建築の直近は通行しない

<爆弾テロ脅迫電話チェックリスト(一例)>
( i ) 質問事項  
  ○爆弾はいつ爆発しますか ○現在どこにありますか
  ○どんな形ですか ○どうすれば爆発しますか
  ○なぜ脅迫するのですか ○あなたの名前は
( ii ) 相手の特徴
  ○性別、人種、年齢 ○言語、声質、訛、話し方 ○背景の音 ○脅迫内容
( iii ) 電話がかかってきた日時、通話時間、相手の電話番号

 

最後に...総領事館からのお願い

 皆様、「在留届」は提出されているでしょうか。
 外国に3か月以上滞在する日本人は、旅券法に基づき現地の大使館や総領事館に在留届を提出することになっています。
 在留届は、大規模な事故やトラブル、自然災害等が発生した際の安否確認、在外選挙登録、教科書の配布や各種証明書の発給など、皆様がアメリカで滞在されるのを支援するもので、郵送又はFAXでも(平成11年1月から)受け付けており、届け出用紙は、総領事館窓口にあり、当館ホームページからも入手できます。まだ提出されていない方は、お早めにご提出くださいますようお願いします。また、住所を変更された時やご帰国の際にも、必ず当館までご連絡ください。

 

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