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新型インフルQ&A:早期発見への取り組みは?

 ◇国への報告体制整備、地域超えて拡大防ぐ

 新型インフルエンザ対策では、患者の早期発見が重要になる。感染拡大とその被害を最小限に食い止められるからだ。

 早期発見を目指した新たなシステムが、北海道洞爺湖サミットの周辺自治体で試験運用された。管轄する西胆振(にしいぶり)消防組合消防本部が、新型インフルエンザの症状とされる発熱や呼吸困難などを伴った患者を搬送した場合、国立感染症研究所に設けられた専用サイトを通して連絡する。また、薬局も抗インフルエンザ薬などを処方した際にサイトに書き込む。その内容を研究所が毎朝チェックし、当日の対応を検討する。

 研究所の大日(おおくさ)康史主任研究官は「流行初期は各医療機関に患者が1人いるかいないかで、異変に気づきにくい。地域の枠を超えて情報が入ることで全体が見える。市民も周囲で異変に気づいたら、消防などに連絡してほしい」と話す。

 新型インフルエンザは国内で起きるとは限らない。むしろ海外で発生し、感染者が日本に入ってくる可能性が高いとみられる。

 新型インフルエンザは鳥インフルエンザが変異して発生すると予測されている。世界保健機関(WHO)は各国に、強毒性鳥インフルエンザの人感染例を2週間以内に報告するよう求めている。だが、WHO西太平洋地域事務局の押谷仁顧問(東北大教授)の分析では、04~05年に発生した約70例では、報告までに平均17日かかった。約6割は2週間の目標が未達成だった。

 押谷さんは「患者を診察した病院が国に通知するのに時間がかかっている。新システムは、消防や薬局から直接、国に情報が流れるので早期発見に有効だろう」と話す。【関東晋慈】

毎日新聞 2008年8月12日 東京朝刊

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