2008年04月08日 更新
【柔道】代表選考見直し?山口女子強化委員、ポイント制導入提言
全日本柔道連盟の山口香女子強化委員(43)が7日、北京五輪後の日本代表の選出方法についてポイント制の導入などを提言した。6日に発表された北京五輪代表(および候補)は、48キロ級の谷亮子(32)=トヨタ自動車=ら最終選考会の全日本選抜体重別選手権(5、6日)で敗れた選手が多数選出され、世間から透明性のある選考を望む声が噴出した。国際的な流れに歩調を合わせながら“改革”を進めるしかない。
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日の丸の代表を、明快に選べないものか。北京五輪代表・代表候補選出から一夜明けてもついて回るのが、選考基準の不透明さ。世間も納得する明確な選考へ向け、強化委員の山口香女子強化委員が提案した。
「総合的な評価で選んでいるにしても、こんなに負けることがあるのか。勝っても選ばれなかった選手への説明責任として、ポイント制の導入もいいのではないか」
女子代表(および候補)6人のうち最終選考会覇者は、中村美里のみ。6日の強化委員会では「最終選考会がどれだけ重みがあるのか、位置づけがわかりづらい」という声も噴出したという。
昨年の講道館杯、嘉納杯、欧州遠征と続く選考会の“最後”が体重別。選考にあたって、全柔連の強化委員会は選考会の結果だけでなく、今冬の欧州主要大会などの実績も検討する。「勝てる」選手を総合的に選ぶとしても、数字を導入すれば誤解は減る。各大会の付与ポイントを公表しておけば、選考レースの動向は素人にも一目瞭然(りょうぜん)となる。
すでに国際柔道連盟は世界ランク導入、2009年以降の世界選手権毎年開催の方針を公表。北京五輪後にも、システム変更が行われる可能性がある。世界ランクを持った選手でないと五輪出場できなくなれば、国内選考会の意義さえ危うい。国際的枠組みが変化する中、柔道も卓球、バドミントンなどと同じく世界ランクを基準に選考する日が来るかもしれない。
「今回が、国内で代表を選べる最後になるかも。最終選考会で勝てない代表を、五輪で勝たせることができるのか。それは強化体制の問題」と山口強化委員。
雑音を封じるには、選んだ代表で北京のメダルラッシュを見せるしかない。五輪後に4年の任期を終える強化委員会。国民の理解とともに金メダルを狙える選手を選べるシステム作りは、宿題として引き継がれる。
(周伝進之亮)
■山口 香(やまぐち・かおり)
1964(昭和39)年12月28日、東京都生まれ、43歳。全日本選抜体重別選手権は52キロ級など78〜87年に10連覇。世界選手権は金メダル1度、銀メダル3度。87年筑波大卒。88年ソウル五輪銅メダル。89年引退。元筑波大柔道部女子監督、現武蔵大教授。愛称は「オンナ三四郎」
★全体の3分の2が野村支持も…最終選考会Vが決め手
6日の全柔連強化委員会で男子60キロ級の北京五輪代表候補選出に当たり、選抜体重別の準決勝で敗退した野村忠宏(ミキハウス)の五輪3連覇を再認識する委員が全体の3分の2を占めていたことが分かった。昨年の嘉納杯東京国際と2月のフランス国際、野村とそろって出場した選抜体重別でも優勝した平岡拓晃(了徳寺学園職)を推す委員は猛反発。ある委員は「平岡はこれ以上何をすればいいのか。優勝が評価されないなら最終選考会の意味はない」と主張。両派は総意を得られず、全柔連幹部に判断を仰ぎ、最終的に平岡が選ばれたという。
★康生、勝って北京決める!
全日本選抜体重別選手権で男子100キロ超級を制した井上康生が一夜明けた7日午前、福岡市内のホテルで記者会見した。前夜は祝杯を挙げ、睡眠は3時間というが、表情は明るい。「朝起きてうれしい気持ちだったが、もう一つ勝たなきゃという思いも強くなった」と、北京五輪代表の最終選考会となる29日の全日本選手権への思いを口にした。男子60キロ級で、五輪3連覇の野村忠宏を退けて代表候補に選ばれた平岡拓晃は「目標は北京での金メダル。野村さんからは『頑張れよ』と握手してもらった」と感慨深げだった。
■6日の全日本柔道連盟強化委員会VTR
北京五輪代表の最終選考会・全日本選抜体重別選手権を終えた6日、女子48キロ級の谷亮子(トヨタ自動車)ら代表(出場枠を獲得していない男女6階級は代表候補)12人を選んだ。男子は優勝者がそのまま選出されたが、女子で優勝者が選ばれたのは52キロ級の中村美里(三井住友海上)だけ。「世界で勝てる選手」を大前提にした選考で、「最終選考会」の看板に疑問と後味の悪さを残した。
■他の主な競技の五輪選考基準
卓球、バドミントン、ビーチバレー、総合馬術、馬場馬術、フェンシングは世界ランキングに基づいての選出が基本。体操は五輪枠確定後に指定の国内大会で選考。マラソンも世界陸上メダリスト以外は、指定の国内選考大会出場選手から選考。陸上の一般種目は日本選手権で参加標準記録Aを突破した優勝者以外は、日本選手権か他の選考大会で同A、Bを突破し優勝または上位入賞した者から選ぶ。競泳は今回、一発勝負。日本水泳連盟が決める標準記録を今年4月の日本選手権で突破した選手の中から選考する。
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