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【コラム】5000年VS60年(下)

 東アジアはなぜ欧州のように連合できないのか、という疑問はかなり以前からあった。しかし北東アジアは欧州連合のような方向には進むことはできない。欧州は2回の世界大戦を含め何百年にもわたり戦争を起こしながらも、過去に対する反省の上で手を握った。欧州の国々は消耗的な対立よりも連合を通じた世界化の競争を選択したのだ。しかし中国と日本は連合できないし、またそれを望んでもいない。それがアジアと欧州との違いなのかもしれない。韓国が中国や日本と対等な国力を持たない限り、彼らのエサとなるだけで「バランサー」にはなれない。それが5000年の歴史を通じて得た結論だ。

 結局、大韓民国が選択すべき進路は、過去60年の延長線上から探し出すしかない。つまり中国と日本の間にとどまったりせず、果敢に外へ、世界へと出ていかなければならない。中国と日本は韓半島に対して領土的野心を持った国だ。時代は変わったとはいうが、中国や日本が領土に対する欲深さを捨てたという兆候はなく、まったく逆ともいえる状況だ。しかし米国は少なくとも韓国に対して領土的野心を持つ国ではない。米国と取り引きを行って損害が出るかどうかは、われわれ自身にかかっている。

 今われわれは60年の圧縮された成長に伴うさまざまな副作用に悩んでいる。リーダーシップが薄っぺらで貧富の差や左右の対立が深刻だ。また世界化に見合った訓練も未熟であるなど、さまざまな問題がわれわれの足を引っ張っている。そのためなおさら、われわれはこのまま立ち止まることも振り返ることもできない。立ち止まればほかの国にすぐに追い越され、振り返れば中国と日本の覇権主義が待ち構えているだけだ。建国60年の教訓として得たものは、われわれが進んできた道は正しかったのであり、またそれ以外に別の道はないということだ。

金大中(キム・デジュン)顧問

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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