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【萬物相】「アーチェリー強国」韓国

 1978年にバンコクで開かれた第8回アジア大会のアーチェリー競技に、韓国の女子代表チームが参加した。国際舞台への初登場だった。韓国は17歳のキム・ジンホが個人戦で金メダルを首に掛け、団体戦では銀メダルを獲得した。中学2年のときに初めて弓を引いてからわずか2年で頂点に立ったキム・ジンホは、79年のベルリン国際アーチェリー選手権大会で、30・50・60メートル、個人総合、団体まで合わせて5冠王を達成した。

 世界を驚かせた「神技女子高生」の誕生は、韓国にアーチェリーが普及してわずか20年で成し遂げられた成果だった。59年に高校の体育教師ソク・ポングンさんがソウル都心の古物商で捨てられた洋弓を発見し、関心を持った。62年に米軍の中佐がソクさんと一緒に練習し、アーチェリーの普及に協力した。63年にはソウルの城東中学校にソクさんが指導する弓道部が初めて作られ、同年、アーチェリーの模範競技と大会が開かれた。

 北京オリンピックでアーチェリー韓国女子代表チームが団体戦金メダルを獲得し、88年のソウル・オリンピック以来、6連覇を果たした。準々決勝で240点満点中231点という世界新記録をたたき出し、対戦相手のイタリアが「韓国チームはよその星から来た」と舌を巻いた。84年のロサンゼルス・オリンピックでソ・ヒャンスンが金メダルを初めて手にして以来、04年のアテネ・オリンピックまで、韓国アーチェリー陣は合わせて14個の金メダルを首に掛けている。

 北京オリンピックのアーチェリー競技場を席巻する「コリア」は、選手だけではない。本戦に出場した49カ国のうち、米国・オーストラリア・マレーシア・コロンビア・メキシコなど13カ国の監督・コーチも韓国人だ。現在、各国で代表チームを率いている韓国人アーチェリー指導者は28人になる。世界の選手が使う弓のおよそ40%は、三益スポーツやウィン・アンド・ウィンなど韓国製だ。男女の世界ランキング5位までの選手を含めて、10人のうち9人が韓国の製品を使っている。世界のアーチェリーは、まさに「韓国の天下」だ。

 韓国のアーチェリー人口は登録選手が1500人ほどで、選手層はさほど厚くない。しかし水準の高さは、オリンピックの金メダルを取るよりも代表チームに選抜されることの方が難しい、といわれるほどだ。代表チームは、服の中に蛇を放り込む軍部隊での訓練で度胸を養い、風雨や騒音といった悪条件に適応する訓練も繰り返す。そのため韓国の選手は、北京で弓を引くたびに中国の応援団が笛を吹いて邪魔をしても、全く動揺しなかった。昨日、中国のアーチェリー女子選手や監督は、「まさに世界最高の韓国アーチェリーを学びたい」と語った。その驚くべき精神力を学びたい、という意味だ。

李先敏(イ・ソンミン)論説委員

【ニュース特集】2008北京オリンピック

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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