【北京・浦松丈二】中国新疆ウイグル自治区クチャ県で10日、公安局などが襲撃された事件で、15人の武装集団のうち少なくとも3人が15歳の少女を含む女だったことが分かった。現地の医療関係者が11日、毎日新聞の電話取材に明らかにした。北京五輪の安全確保を名目とした中国当局のウイグル独立派掃討作戦で肉親を失った女たちによる報復テロの可能性が高まった。
クチャ県公安局は11日に会見し、武装集団のメンバーはいずれも地元のウイグル族だったことを明らかにした。分離独立勢力や他の事件との関係は不明という。また、巻き添えになった一般市民1人が死亡し、死者は計12人になった。
武装集団15人のうち8人は現場で警官に射殺され、2人は逃走中に追い詰められ自爆して死亡。2人が拘束され、3人は逃走中だ。関係者によると、拘束された2人と爆死したうちの1人の少なくとも3人が女だった。負傷して拘束後、病院に運ばれたメンバーは15歳の少女で、回復に向かっているという。射殺されたメンバーの中にも20歳前後の女が含まれていたとの情報もある。
自治区当局は昨年1月、山間部の独立派訓練基地を急襲し18人を射殺。今年1月には区都ウルムチの拠点摘発で2人を射殺するなど掃討作戦を続けた。関係者は「家族を失った女性が報復に利用されているのではないか」と話している。
毎日新聞 2008年8月12日 東京朝刊