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【政論探求】「民社党」の懐かしい響き (1/2ページ)
そうだ、「民社党」という消えた政党があったのだ−と、なんとも懐かしい思いでこの本を手に取った。
近刊の『民社党の光と影』(伊藤郁男・黒沢博道編、富士社会教育センター)である。「元党本部書記局員による民社党研究論集」と副題にある通り、党を支えた「裏方」十数人が筆者に名を連ねている。
外部の研究者が書いたものではなく、民社党の発足、維持に心血をそそいだ人たちの「ナマの記録」であり、率直な現場感覚が伝わってくる。
民社党の結党は昭和35(1960)年1月。ほぼ35年存続したが、平成6年12月、解党に至った。2年後の平成22年に、結党50年、解党後15年を迎える−という指摘に、歴史の変転を改めて感じる。
「少数党で35年存続した政党は稀有(けう)」「55年体制崩壊後の政界再編の中で完全に解党したのは民社党だけ」という記述もある。なるほど、言われてみればそういうことになるか。
民社党の系譜をたどれば、明治34年の社会民主党にまで行き着くのだが、戦前の社会民衆党→社会大衆党、戦後は日本社会党→右派社会党→統一社会党→民主社会党(その後、民社党に改称)という流れになる。
考えてみれば、社会党が民社党にそっくり模様替えしていたら、55年体制下で政権交代可能な2大政党時代が現出していたかもしれない。しかし、民社党は結党直後の衆院選で40議席から17議席に転落、その後、結党時の勢力をついに回復できなかった。