パーキンソン病など10種類の遺伝性疾患を持つ患者の細胞から、さまざまな細胞や組織になる人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作ることに、米ハーバード大などの研究チームが成功し、22日付の米科学誌セルに発表する。発症の仕組みの解明や新薬開発に役立つと期待される。
研究チームは、筋ジストロフィーやダウン症、1型糖尿病など、抜本的な治療法がない10種類の疾患を持つ、生後1カ月〜57歳の患者から皮膚や骨髄の細胞の提供を受けた。iPS細胞を開発した京都大チームと同じ4種類の遺伝子、またはがん発生にかかわる遺伝子を除く3種類の遺伝子を導入し、いずれも作成に成功した。
研究チームは今春、10種類の疾患のうち、遺伝子異常によって重度の高尿酸血症などを起こす「レッシュ・ナイハン症候群」について、患者の皮膚細胞からiPS細胞作りに成功したことを、毎日新聞の取材に明らかにしていた。
ハーバード大などの別の研究チームは先月、筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)患者からiPS細胞を作ったと発表しており、難病患者の細胞を使った研究が急速に進展している。【関東晋慈】
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