日航ジャンボ機墜落事故からきょうで23年になる。ことしは同事故を描いた映画「クライマーズ・ハイ」上映もあって、当時を振り返った人もいるだろう 旧盆前の発生で、人の命と運命を考えさせる惨事だった。舞台は墜落現場地元の地方紙である。同業者として見逃せなかった。新聞社内の人間もようが戯画化され過ぎてはいたものの、事故の悲惨さと報道の過酷さはうまく描かれていた 卑近な感想で恐縮だが、御巣鷹山から泥だらけの記者が帰って来る場面に、先の水害取材で泥まみれになっていた本社記者の革靴姿が重なった。紙面の1面トップを地だねスクープで飾るデスクの執念にも共感を覚えた 「クライマーズ・ハイ」は登山家(クライマー)が高揚感(ハイ)で恐怖を忘れることを言う。仕事に没頭して「ハイ」になるほどの充実感を覚える者と、その周囲で寂しく過ごす家族が描かれている。今もどこかで繰り返されている光景だ 猛暑の中で静かに過ぎていく旧盆のころ。五輪観戦で「ハイ」になるのもいいが、遠い先祖からつながる人と人、身近にある命と仕事を思う時間も持ちたいものだ。
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